金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

視線の優しさ(2015年10月)

昨日も1日中仕事で一歩も家を出ず。天気も覚えていない。僕の場合周期的にこういう事態に陥るので意識して外に出ないとまずいかも。せめてジョギングぐらいはしないと。

「お父さん、騙されたと思って見てみな」と言われて「マツコの知らない世界 食欲の止まらない秋 2時間スペシャル」の前半を見る。

面白かったです。みんなも知っている(というか僕の世代の人は)「マルシンハンバーグ」をはじめ、コンビニ、スーパーで買える数百円のものからファストフード店、ハンバーグ専門店で1000円以内で買えるもの、最後は4000円のハンバーグまで、マツコさんが全部試食して感想を言うのだが、案内人の(本業)測量士さんとマツコさんの掛け合いが面白い。

マツコさんて一見口が悪いけど毒がない。救いがある。相手のプライドを傷つけるようなことを言うことはないし、食べているもののけなすことも絶対にない。ああこれが人気の秘密なんだなあと、僕は普段の会話でちょっと皮肉っぽいツッコミを入れることがあるので反省しなきゃいけないなあ・・・番組の流れとは別にそんなことを思いながら見た。

今日の「春秋」は笑った。この春秋子も優しい人だと思います。

(以下引用)

最後に休日の暇つぶしに小ばなしをひとつ。米国のお笑い芸人ジム・スタッフォードの十八番だ。「最近の若い子はみんなタトゥーを入れているね。こちとら年寄りも負けられない。でも、あまり派手なのや妻の名前は恥ずかしい。そこで彫師に聞いたんだ。何を彫るのがいいかって。答えわかるか。おれの住所だってさ」

(引用終わり。2015年日本経済新聞10月11日「春秋」)

http://www.tbs.co.jp/muryou-douga/matsuko/041.html
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO92726750R11C15A0MM8000/

見栄も損得も意地の張り合いもなーんにもない仲間たちとの宴会

 

昨日の飲み会は結構、というか相当楽しみにしていましてね。

「10年も年下の後輩のYじゃなくてなんでこの俺様が店の予約をしなきゃならんのだろう?しかもこの会の言い出しっぺはYの野郎だぞ。直接会ったらきっちり片つけなあかん・・・」と思いつつ焼肉大好きなもので店選びも楽しんみまして結局(↓)を(本店は行ったことあったんだけど別館を)2週間前に予約。

当初6時半だったのですが一昨日になってNさんから「ラジオの取材が入った。20時から。そこで18時半からお酒なしで焼肉食って、いったん抜けて、その後後半飲みたい。急なオファーで申し訳ない」とのご連絡。さすが超売れっ子の経営評論家でございます。日延べしましょうか?と逆提案すると、「せっかく3人で集まるんだからどうぞ鈴木君とYさん(小生意気な後輩野郎)でゆっくりやってて・・・・」

こりゃ21時に延期するしかないっしょ。

僕の方は18時半からでも21時からでも飲んだ後は仕事ができない=予約時間がおそくなった分だけ仕事ができる、というわけで7時半までみっちり仕事をして新橋へ。21時に大ジョッキで乾杯のあと焼肉ガンガン食って飲んで2時間半。

Nさんは4つ上、Y君は10下です。Nさんとは1995年から。Y君とは1998年からのつきあいになる。3人で一緒に仕事をしたのは1年間だけ。その後は僕とNさん、僕とY君、NさんとY君の飲みはあったんだけど、3人での会食は5~6年ぶり、いや10年ぶりぐらいかもしれない。

Y君には会うなり「てめ~何様だとおもってんだ。何で俺が店の予約しなきゃならんのんじゃ!!」という趣旨の上品な詰問をしたところ、「いや~Nさんと鈴木さんの間に僕がしゃしゃり出るみたいで遠慮してたんですよ~」とニヤニヤ。まあいいか、とつい許してしまう俺様も甘い。

見栄も損得も意地の張り合いもなーんにもないまっさらの、ただ一緒にいれば楽しく、その人の前で泣くこともでき、喧嘩しても怒ってもなーんの後腐れもなくすぐ許し、どんな悩みでも(家族に言えないことも)打ち明けられる人っているじゃないですか。

僕にとってNさんとY君とはそういう相手なんですわ。

昨日アップした写真は食事後にお店の人に頼んで写真を撮ってもらったもの。

実に、実に楽しかった。あまりに楽しかったので年末に忘年会をするとにして散会。

お陰様で本日は6時起きで、今午前中納品の仕事を終えたところ。今日は夕方まで仕事の後、某翻訳会社と飲み会。2日連続は久しぶり。

 

(おまけ)「領収書?Yさんか鈴木君持って行きなよ」「ハイ」とYが財布にしまいかけたところを「テメーは社長なんだからそんなチマチマしたことをすんじゃねーぞこら。俺様が持って帰ります」と3万円の領収書をひったくって持って帰ってきたんだが・・・

よくよく考えてみると、この領収書「大阪焼肉/ホルモン・・・」と書いてあることにさっき気がついた。

「お父さん、今日のNさんとの食事会どこ?」

とてもとても恐ろしくて「焼肉」なんて言えないので・・・
「いや、どこだったかな。Yが取っているはずだから。。。和食だったかな」
「いってらしゃーい」

という会話をしたんだっけ。

 

tabelog.com

 

「これでよく受けたな!」と驚きあきれた翻訳者のレベルと姿勢(2015年10月)

比較的短めの品質管理の仕事。想定時間3.6時間で納期まで3日あったのだが、品質管理は「まさか?」の事態があり得るので昨日ちょっと(3本のレポートのうち1本)やってみたら、その「まさか」だった。

Peripherals

金融やっている人だったら常識で、「欧州周辺国」または「欧州周縁国」と訳すんだけど、「末梢的な(ソブリン債)」と来た。

Benchmark rate

すでに一般常識の世界で「政策金利」のことなのだが「中央銀行による基準レート」と訳している。

もはや明らかだ。①専門外だ。②翻訳姿勢がなっていない。上の2つを知らないひとだって、ちょっと検索すればすぐ出てくる。

ほぼ訳し直しを決意。翻訳会社に上の2つの事例を示した上で

「僕も評価される立場なのでこんなことは言いたくはないが、なんでこんなレベルの翻訳者がこの文書を任されたのかを全く理解できない。本当にこの人は貴社の審査をパスしたのか?この訳者を使うことは貴社にとって重大なリスクだ・・・(中略)・・・ちなみにここまでの所要時間は2時間。あと4時間まではかけられるが私もいろいろやることがあるのでそれ以上は無理。もちろん貴社が配分してきた3.6時間以内(つまりあと1.6時間)でできることをする、という手段もあり。It's your choice.とメールを送る

「6時間かけてできるだけの努力をしてくれ」との返事来る。はいそうします。

tbest.hatenablog.com

朝令暮改?~送金手数料をめぐるやり取り(2015年10月)

某グローバル翻訳会社からちょっと大きな案件(1週間で1万ワードの翻訳と、その後2万ワードの品質管理)の打診が先週あった。「半分ぐらいなら何とかなると思うがスケジュール確認したいので週明けまで待ってくれ」「来週休暇なので引き継いでおく」でメールのやり取りを追えたのがまずかったのか。

今週別の担当者からその確認メールが来て、何とかなりそうだと答える。「ただし・・」この会社のこのオフィスの場合には必ず付け加える。

「銀行手数料はそっち持ち。それができないならPaypalで支払って下さい」。

このオフィスからの送金の場合、外国の銀行間の手数料が1700円。日本に来てから4000円の計5700円。そもそも振込手数料は支払い側が持つべきだと考えているし、10数万円の仕事で5700円なんてありえんだろう。これが問題になる。別のPMからメールが来て「ミスターK(私のこと)、ちょっと誤解があるようで・・・こちらのオフィスはPaypalは使えず・・・銀行手数料は請求書を月に1回にまとめることで・・・」まただ。もう何年もこのやり取りが続いている。

そもそもこの会社、翻訳料金が私の取引先の中で最も低い。しかしつきあいが長いのと、「困った時のお助けマン」として期待されているという自負もあったから、年に数回比較的短い納期の品質管理と少し(1回1000~2000ワード)の翻訳を手伝ってきたのだ。でもその度にこの問題が蒸し返される。しかもこの話はPM間では引き継がれないらしい。この会社と数年前2年間にわたって毎月7000~8000ワード訳すプロジェクトをやっていたときは全部払ってくれていたのに、案件が終わり担当者が変わると毎回私が同じ交渉をしなければならないのは面倒だ。

・・・というわけで、「もうこういう交渉にうんざりなので本件降ります」とメールしたのが一昨日。

昨日同じ会社の、同じ事務所の違うPMからメールを見てギョッとする。

「品質管理をやってくれないか?」;報酬は約1万5000円。

「だ~か~ら」と言いたいところ、そういう英語の表現力もこっちにはないので、ここ数日の同社とのやり取りを伝え、「僕の条件はただ一つ。貴社が5700円を払うなら受ける。払わないなら受けない。ちゃんと会計部門とチェックしてくれ」。でもう来ないと思っていたのね。何せ昨日の今日だから。こっちも忙しいし。そうしたら2時間後、

「了解した。報酬に5700円追加したのでよろしく」

これで断る理由なくなっちゃった。結構忙しいし、面倒だけどやるしかない。誠実にいろいろチェックしてやってくれた彼の期待にも応えたいし。

要するに、所詮はPMの腹次第なのだ。

 

 

36年ぶりの再会

 

高校の同期会に出た。卒業以来36年。高校を訪ねるのは35年ぶり。出席者のほとんどが36年ぶりになるので、この僕が「何を着ていったら良いか?」を妻に相談したのだから。背広にしようか、どうしようか?と悩んだあげく、「飾ってもしようがないから普通の服で行こう」とポロシャツにジーンズ、スニーカー、ナップザックで出かけた。

・・・とまあ、そうはいっても心のどこかで「構えていた」自分が恥ずかしくなるほどの、さばけた、アットホームな会でした。クラスごとに世話役の皆さんが待っていて「こんにちは」「こんにちは」と気さくに声を掛けてくれる。

L組(僕のクラス)のとりまとめ役のI君によると、3年ほど前に有志数人で集まり、2年前、昨年と口コミで30人ぐらいになったが、せっかくならクラス担当を決めてちゃんとした会にしようということになったとのこと。「自分のクラスを覚えていない人もいて大変だった」ご苦労様でした。

名札にクラスと名前を自分で書くと、「お~タツヤ」と次々と声を掛けられる。顔を見た瞬間に思い出す人、名前を見てから記憶が蘇る人、名前と顔を見ても思い出せなくて、「え~と、どこでいっしょだったっけ?」とお互いに記憶を辿り合う人。話をしているうちに段々と記憶が鮮明になってくる、という体験はとても新鮮だった。一方、Facebookのお友達であるSさんともお会いしたのは30年ぶりぐらいだったけれど「久しぶりって感じしないね」と言われる。僕もそう思った。これって今風な再会だなあと

クラスごとに近況報告。僕のクラスは担任のM先生がお見えになり、「資料を探していたらこんなの見つけました」と出席者全員(卒業生400名強のうち70名)に配ったのが、「S県立高等学校 合格者氏名」のコピー。学校名と定員の後に合格者氏名が載っている昭和51年3月7日付け地方新聞の号外である。「こんなの配ってたんだね」「今なら考えられない」

そんなこんなで2時間があっという間に過ぎ、2次会にも行って帰宅は午前様。あれほど心から楽しいと思った会はちょっとない。行ってよかった。自分を飾らなくてよかったと思いました。

「黒衣の刺客」-ネタをしっかり仕入れてから見るべき映画

 

午前中に仕事をした後に新宿へ。新宿三丁目の甘味処できしめんを食べた後妻は世界堂、私は新宿ピカデリーへ。

「黒衣の刺客」

風景も人も衣装も、戦いのシーンも、とてもとても美しい映画でした。それだけで十分金を払った価値はあるのだが、逆に言えばそれだけだった。筋が全く分からなかった。

まず台詞がほとんどない。時代背景を説明する文章が最初にちょっと出るので8世紀頃の中国の話だということはわかる。ただし主人公以外の登場人物が男性も女性も同じような顔に見えてだれがだれの仲間で、敵なのかが(主人公が闘っている相手が敵という以外は)全く区別できない(今これを書きながらホームページを見たら、登場人物の中に双子がいたってんだから混乱するわけだ)。妻夫木聡は出てきたが何の説明もないので、実は遣唐使の役だったということが帰宅後にわかったほど。

僕の隣に座った中国人の若い男性は、非常識にも映画中に何度も携帯を見ていたのだが、あれは多分ストーリーや人物相関図を確認したのだろうと思う。

映画は情報をなるべく仕入れないで素のままでみた方がよいとは思うが本作だけは例外。ホームページや各種の映画評で背景情報や人物相関図を徹底的に勉強してから見に行くべき映画だと断言できます。とはいえ、「見る」だけでも十分に価値のある映画だと思います。

では1800円の価値はあったか?うーむ、微妙。夫婦二人で2000円が適正とみた。

 

kokui-movie.com

不条理なこと

昨日はゆっくり仕事をした後、ジョギングは臨海公園まで足を伸ばした。海岸沿いを気持ち良く走りながら「今大地震が起きたら皆一斉に逃げ出すだろうが、僕はもうへばっているのであきらめるしかないかも」などと考えてしまう。でもそんなことは起きっこない、自分には起きっこないと思っている自分もいる。

 

夕食後に「0.5ミリ」を最後まで見た。

 

好き嫌いはあると思うので、だれにも薦められる映画ではない。長さ、設定の不自然さも含めツッコミどころ満載だが、見て良かったと心から思った。人生の不条理を前向きに受け止めている主人公に共感した。途中で若干だれるが、見始めたら最後まで見ることをお薦めします(最後にならないと最初のエピソードの意味が分からないので)。安藤サクラは凄いわ。奥田瑛二が親馬鹿になるのもよく分かる。ただしお子様と一緒の視聴は薦められない。

 

http://www.05mm.ayapro.ne.jp/