金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

翻訳者の常識と良識を疑う(「千里の道も一歩から」とは言うけれど・・・)(2012年10月3日)

昨日は昼ごろに某翻訳会社から電話がありQA(品質管理ー他人が訳した翻訳を見てチェックする仕事)をやってくれとの依頼。原文5k(5000ワード以上)なので忙しいので断る。

10分後にまた電話があって忙しいのはわかるがどうしてもやって欲しい。実は某社のトライアルなので・・・とのこと。しかもこっちが頼んでもいないのにレート(時間給)を上げる。言い値でやってくれと言われる。

こういう時に「じゃあ倍で」というのも足元を見ているようで嫌だし、また僕を頼りにしてくれるというのも嬉しいし、かといって忙しい・・・ただおしりが区切られているので時間がないというのでいつもの2割増しで引き受けた。

訳文を見て呆然とする。金融分野が初めてというのが一読でわかる訳者だったのだ。根拠は二つ。一つは金融翻訳では常識の言葉の使い方、言い回しをしていないこと。もう一つは9月にあった金融市場のどでかい動き(FRBのQE3とECBのOMT)を把握していなかったこと。

かつて入社7年目に証券会社のシンジケート部門に行ったときに先輩社員(その部門は新入社員の時からやっている人が多かった)から「ド素人が・・・」みたいな態度をされて嫌な思いをしたことがあった。その時に別の先輩社員から「千里の道も一歩からだよ」「誰でも最初は初心者なんだ、気にするな」と言っていただいたのが嬉しく励みになった。

で私も翻訳者になってからは尊敬する先輩社員の姿勢を見習ってやってきたつもりである。

そういうつもりではあるが、はっきり言って腹が立った。

通常の翻訳だったら「挑戦」もいい。

でもさ、これ、その会社のトライアルで、しかも5k。時間も限られているのだ。何故そういう制約条件のある仕事を引き受けたのだろう?

腹が立つは時間がなくて焦るはで普通だったら12時間ぐらいかかる仕事を6時間で何とか終わらせた(と言っても限られた時間内ではベストを尽くしたが自信はない)んだけど、なーんか煮え切らないものが残りました。

皆様よい1日を。

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