金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

エゴイストである自分を自覚する

僕は目の前の仕事を必死にこなしていくことと、自分自身の翻訳力(正確に定義できないけれども、原文を正確に読み、できればお客様が望む以上の、自分が満足できる商品を提供できる力)を高めたいと日々努力を続けているつもりだ。

けれどもそれ以上のこと、例えば翻訳界はどうあるべきか、翻訳界はどちらに進んでいくのか(いくべきなのか)、あるいはこれから若い翻訳者をどう育てていくか、ということに漠然とした興味はあっても関心がないのだ。

ある著名な通訳者の方はとても素晴らしい教師で、生徒が初心者のうちはとても親切なのに、生徒の力が伸びてくるととたんに嫉妬深くなって意地悪になったという話をどこかで読んだことがある。

恐らく僕はその手の人間ではないか。別にそうありたいと思っているわけではないし、できればそうはありたくないが、自分の心の内の内を覗いてみると、「若手の翻訳者?それはどちらかと言えばぶっつぶすべき競争相手だ」と思っている自分がいることも確か。他人からおまえはそういう人間だと指摘されたら不愉快になるだろうが、まあ、自分にはそういう資質があることを(他人から言われる前に)認めつつ、少しでも心の余裕を持ちたいな、なるべくそうでない自分になりたいなと、機械翻訳に関するセミナーを聞きながら、そういう、トピックスとは全然関係ない感想を抱いた次第。