金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

翻訳者のスケベ心(2013年2月13日)

毎回思うんですが、書籍の翻訳って、やっている時はコツコツ地味な作業がずーっと続くんだけど、原稿出して、ゲラ修正するぐらいから段々山っ気が出てくんだ。

「当たんねーかなー」って。

アマゾンで順位をチェックしちゃったりしてさ。著者は8掛けで売ってもらえるんだけど、送料考えるとアマゾンの方が得なので得意先にアマゾンで注文するじゃん。
そうするとさ、順位が上がるのよ。
こういうのを証券用語で「自己買い」って言うんだけど。
で、毎回20冊ぐらいまとめて送っちゃうんで、一時的に見かけの順位が上がるの。
編集者の人をぬか喜びさせちゃいけないんでメールします。
「あ、あの20冊、『自己買い』ですんで、誤解しないよにね」って。
何しろ注文するの僕だけだから、流動性が低い結果順位がすぐ上がる。これ、株式市場だったら完全な相場操縦じゃんか。
で売れ行きの方じゃなくて変な評に当たっちゃったりしてね。
そんなときに新聞の評とかで取り上げられると「提灯買い」が付いちゃって自己買い以外で上がると嬉しいんだなー。

でもそんな夢のような状況は長く続かない。
「世の中そんな上手く行くはずねーぞ」と現実に戻る。
それが過去10回でした。
だけど毎回ドキドキするんです。
何かの間違いで売れちゃったらどうしよう!なーんてね。
日々の実務翻訳の仕事をしながら、一時期そういうドキドキ感を味わえるのが書籍翻訳の魅力の一つです。