金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

人事は他人事(2015年12月10日)

昨日は元同僚で3つ先輩のSさんと食事。彼は某中堅証券会社のナンバー2なのだが、「俺たちは組織の中でどんなに偉くなっても自分の人事を自分で決められない」「社長じゃなきゃね」「いや、上場企業の場合、最近は社長もだ・・・その点お前はエラい。お前の人事はお前が決めてるんだからな」と変なところを誉められる。

大企業に勤めるサラリーマンにとっての最大の関心事は「(自分で決められない)人事」。(最近は大企業であっても自社の存続そのもの=自分の職が脅かされる例も増えているが、一般的には職が脅かされることはない、という前提で)。

その最大の関心事の対象が僕からなくなって13年。「そりゃ人に対する対処の仕方や物の考え方が組織人から見るとズレてくるわけだ。そんな感想も洩らしながら先輩の話に耳を傾けました。

先日、「全日本歌唱力選手権」という名の番組があって録画した。カラオケ・バトルは機械が採点するので、機械に対して得点力の高い人が高得点を取ってしまい、心に響く歌を歌った人が必ずしも勝てない。そこが問題だなあ、と思っていたので、人が審査するのだからさぞや・・・とかなり期待したのだが・・・全然面白くない。何回かの歌と採点を見た上でつまらなくなって見るのを止めてしまった。妻と二人で「なんでこんなにつまらないんだろう?不思議だね-」。もちろん演出もあるのだろうけど、僕たち二人の結論は、「機械が採点していないから」である。

機械だから勝っても負けてもあきらめがつくし、弁明もできる。でも機械の採点には不公平さがない。その判定に人が一喜一憂するから面白いんだね。
一方、人が審査すると(何しろジャンルが民謡から演歌、ポップソングまで多岐にわたるので)、「本当に公正に判断しているの?」と思ってしまう。だからかな?
しかしまあ、人事を機械に決められちゃったら当人はやりきれないだろうねぇ。僕にとって人事は他人事ですけど。