金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「正しい行程を正しい手順で行っているはずなのに結果がでない。そこからいかに回復するかを精密に解析できるのもプロの条件」:2018~2020年の今日(3月28日)に出会った言葉

(1)2020年3月28日  
日本の社会は、人間の「力強さ」や「傷つかない心」を当然のこととしてきた。……しかし阪神・淡路大震災によって、人工的な都市がいかに脆いものであるかということと同時に、人間とはいかに傷つきやすいものであるかということを私たちは思い知らされた。今後、日本の社会は……傷ついた人が心を癒やすことのできる社会を選ぶのか、それとも傷ついた人を切り捨てていく厳しい社会を選ぶのか……。
(『心の傷を癒やすということ』p258、安克昌著、作品社)
本日の言葉:僕は被災者の経験がないので当事者意識が持てないのだけれど、なるべく共感しようという努力は続けたいと思っている。この文章が書かれたのは今から20年前。安さんの遺言に近いこの言葉は、残念ながら今の自分や社会、国にも当てはまるかもしれないと思いながら書き写しました。

(2)2019年3月28日  
……プロとは高度なパフォーマンスを常に一定の水準で発揮できる人を指すわけだが、ときとしてそのバランスが急に崩れることがある。正しい行程を正しい手順で行っているはずなのに結果がでない。そこからいかに回復するかを精密に解析できるのもプロの条件だろう。  
福岡伸一動的平衡「自らの『はかり』使う難しさ 本日付朝日新聞

(3)2018年3月28日  
日本の政治家は色紙を書くのは得意だが、「回顧録」は苦手らしい。「評価は歴史にまつ」などと格好いい言葉は使うが、後世のことはさして気にならないらしい。
・・・(中略)・・・
・・・歴史に対して責任がうすい政治とは、実は、現在に対する責任のとぼしさにも通ずることになる。
 (「回顧録」(1973年6月6日)『深代惇郞の天声人語』p75より)