金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

元日の車内で(2022年1月)

元日に母(88歳)と長男、次男とともに初詣へ。地下鉄に乗るとそこそこ込んでいた

母の席でも見つけようと電車の中を探し始めたところ、目の前に座っていた外国人の青年がスッと立ち上がり席を譲ってくれた。家族なのか友人同士なのか、5~6人の白人のグループで、日本への旅行者と思われた。"Thank you."と僕が礼を言って母が腰を下ろす。青年と、その母親と思われる女性(恋人だったかもしれない)が、おそらく「どう致しまして」という意味の外国語(英語ではなかったと思う)。母も頭を下げた。

降りるときにまたThank you.と言うと、連れの女性がYou are welcome.と答えてくれた。

その人たちにありがたいと思いながら、車内にあれだけ日本人がいて、誰も何もなかったように座っていたのは、ただただタイミングの問題だったのか、彼らが関心を(わざと?)示さなかったのか、とそんなことを思った。

帰宅して妻(祖母が亡くなり喪中)にその話をしたところ、「きっとスマホに夢中で気がつかなかったんじゃない?」と。そう言われてみると、その外国人旅行者のグループの多くは、スマホよりも景色を眺めていたような気もする。

昨年、非常に混雑した地下鉄の中で、横にチョコンと座っていた自分の子どもを膝に乗せて僕に席を譲ってくれようとしたのも黒人の女性だった。ここ数年、僕自身が席をゆずられることが少しずつ増えてきた。この時は丁重に辞退した。そこまでしてくださった気持ちが嬉しかったものの、それを受け入れるのは先方に悪いと思う気持ちの方が買ったからだ。もちろん降りるときに改めてThank you.とお礼を言った。

その時のことを思い出して、うれしさと同時に、何となく悲しいというか寂しい気持ちになった元日の朝でした。

今年もよろしくお願いします。