金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「他の家族でなく、私でよかったと思います」:出会った言葉:2年前~3年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(227)

(1)2年前の今日
社会問題のすべてを政権批判につなげたいわけではないが、ウイルスの専門家たちが発信する「正しく怖がりましょう」というメッセージに市民が安堵できない原因の一端は、政府が積み上げた政治不信にもあると僕は思う。
(「後藤正文の朝からロック 言葉どおり信じたくでも」 2020年2月26日付朝日新聞
*本日の言葉:引用文の後に、「そうした政府を作り上げたのは僕たち市民だ」とある。その通りだ。でも、だから文句を言わない、のではない。政府の無能と無責任がやっと自分たちの問題として実感できたのだから、今こそ政府に正当な権利(たとえば、自主休業を「要請」するのなら、何らかの補償を要求するなど)を主張するとともに、徹底的に批判をしないと変わらないと思う。
今こそひとり一人が政治的な発言をすべきだ、と僕は思う。島田雅彦さんが言っていたように、ただ、「従わない」でもいいと思うけれども。
もちろん、それぞれの生活内のできる範囲で(念のために言っておきますが、僕は数年前まで完全にノンポリでした)。
よい1日を!

(2)3年前の今日
長身の主治医は身をかがめてベッドに横たわる妻に近づき、穏やかに語りかけた。いたわりに満ちた態度であったが、もはや手術もできない末期のがんであるとの冷厳な事実の通告であった。

妻は涙と感情を抑え、静かに質問した。「いつ頃まで生きられますか」。医師は「神様にしかわかりませんが、早ければ半年かもしれません」。妻は二、三の質問の後、言った。「他の家族でなく、私でよかったと思います」。
五百旗頭真私の履歴書」2019年2月27日付日経新聞

www.nikkei.com