金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「作家は誰でもそうだと思うんですけど、最初は着想ですね」:2018年と2019年の今日に出会った言葉

(1)2019年の今日
……サービスの設計を考えた場合、製造業での方法論そのままでは使えません。……
製品設計でも利用について考慮しますが、通常は仕様という形式に変換され、要求仕様を満たす製品を作ることに専念します。言い換えると、生産者側で閉じた系として設計問題を捉え直すことで人間的要素を排除し、工学的な問題として対処可能になっています。
ところが、設計の中に人間系が直接入ると、サービス提供時に利用者がどのように満足するかといった価値の問題に踏み込まざるを得ません。これは科学・工学的にアプローチする上では非常に厄介です。サービスの設計にはこのような困難さがあります。
(やさしい経済学「サービスの設計と価値の創出(1)科学的方法論で最適化」 東京大学准教授 西野成昭 2019年2月7日付日本経済新聞

(2)2018年の今日
作家は誰でもそうだと思うんですけど、最初は着想ですね。着想を得るまでは、締め切りを前に時間がドンドン減っていく。あるとき、突然何かが下りてきて、書き始めると脳が勝手に回転し始める。「発作的」という感じ。そうなると、一晩で20枚とか書けちゃいます。
椎名誠「人生の贈り物」2018年2月6日付朝日新聞より)
*僕は作家ではないけれど、『金融英語の基礎と応用』を書いた時に、ちょっと椎名さんみたいな気分になりました。執筆期間3年半のうち3年は目次の工夫(どう見せるか)だったので。確か風呂に入っているときか散歩のときに思いついて編集者に電話をしたら、「よかったですね~。待ったかいがありました」と言われて半年後の締め切りをせっていされたのでした。