金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「無知とは知らないことではない。それは知ろうとしないことである」:1月15日に出会った言葉

(1)2024年1月15日
歴史を知ると、ふだん当然だと思っていることに距離をおけるから、「現在の考えの幅をひろげる」ことができると数学者(森毅)は言う。(鷲田清一「折々のことば」2024年1月13日付朝日新聞より)。

(2)2020年1月15日
時間をかけることがそのまま成果となるような仕事。汗をかき、足を動かしたことが、いつか実りとなるような仕事。
(『古くて新しい仕事』島田潤一郎著(新潮社)p67)
*先日も書いたように、たまたま先週の土曜日の日本経済新聞朝日新聞の「著者に聞く」コーナーで紹介されていたので興味を持ち、その場で購入を決めた本から。著者は、ひとり出版社「夏葉社」の社長さん。出版に関する何のあても、コネクションも、編集に関する知識も何もなかったそう。「起業するのに必要なのは知識ではなく気合いなのだった」(同書P53)という方の、肩の力の抜けた仕事観を描いた本、だろうか(1日5~10分しか音読しないので、まだ途中です)。生き方かも。翻訳という僕の仕事には直接響くような言葉だと思ってメモしました。
よい1日を

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(2)2019年1月15日
 「広島・長崎の原爆の犠牲者に対しては今もなお、後ろめたさを感じている」
梅原猛さん
(「梅原猛さん 死を悼む」 2019年1月15日付朝日新聞社会面)

(3)2018年1月15日
Ignorance is not not to know; it is not to try to know.
無知とは知らないことではない。それは知ろうとしないことである。
(『誤訳の常識』中原道喜 聖文新社* p109)
*今は金子書房さんが出しています。

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本日の原文に関する解説(以下引用)
(以下引用)
二通りのnotが二つ並んで用いられた例:
Ignorance is ①not② not to know; it is ③not to try to know.
① のnotはisを打ち消し、②のnotは不定詞を打ち消す。③のnotは(a)isと(b)不定詞のどちらを打ち消すと考えるのがよいか。
isを打ち消そうとすれば、
(a)「それは知ろうとすることではない」
の意になり、不定詞を打ち消そうとすれば、
(b)「それは知ろうとしないことである」
の意になるが、文脈から(b)でならないことがわかる(引用ここまで)
前掲書pp108-109