金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「人は、誰かを助けることで、知らぬ間にその誰かに助けられている」:12月25日に出会った言葉

(1)2020年12月25日
渡辺(明):……やっぱりアナログ世代のほうが長く活躍できると思うんです。だって漢字って自分の手で書かないと、実際にかけなくなるでしょう。(ソフトに頼ることによって、将棋の地頭が弱くなってしまうということですか?)そうだと思います。
渡辺明(インタビュー)「将棋ソフトがもたらした“世代交代”の現実」大川慎太郎著『証言 羽生世代』p199)
*本日の言葉は、翻訳にも当てはまると思った。私が毎朝原文/訳文の手書き移しと英文解釈を手で書いてやっているのはそういう確信があるから。「紙に手で書く」とか「書かれているものをただ書き写す」ことの重要性については新井紀子さんも強調されている点だ。

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(2)2019年12月25日
腕が上がったことは日々の執筆の作者の姿勢と精進である。見事だ。― 伊集院静
(「会話・展開にリズム感」第11回日経小説大賞、湊氏と夏山氏に 12月23日付日本経済新聞
伊集院静さんは現在日経新聞で『みちくさ先生』を連載されている。夏目漱石の伝記だが、当然正岡子規秋山真之も関わってくる。実は伊集院さんの小説を読むのは初めて。物語の面白さもさることながら、文章のリズム、というか話の持って行き方はさすがだな、と感動しながら毎日音読している。

引用文は日経が主催する懸賞小説の審査員評。入賞2作品のうち、湊ナオさんの『東京普請日和』について、前回の作品よりも格段に上達したことを褒めた一節。そうかやっぱり小説も努力の賜なのだと、自分の仕事にどこかつながる気がして安心した。

www.nikkei.com

(3)2019年12月25日
人は、誰かを助けることで、知らぬ間にその誰かに助けられている。
(「天声人語」2019年12月24日付朝日新聞から)

(4)2017年12月25日
ソフトパワーとは)脅しやカネではなく、相手を自然に引きつけて、求める物を手に入れる能力(ジョセフ・ナイ
(2017年12月24日付 朝日新聞天声人語」より)

(5)2012年12月25日
「礼状を書かなくては、お見舞い状を出さなくてはと思いながら1日延しにする。不義理は重ねるほど気が重くなり、ますます日が延びる。口当たりのいい、面白おかしいことを先にして、気の重さをごまかし、まだ大丈夫、明日があると思っているうちに、老眼となり、髪を分けると、白いものがまじりはじめる。今まで何ともなかった地下鉄から地上で出る階段で息が切れるようになる。
 ああ、と溜息をついているうちに、雨が降り、風が吹いて、今年の春も、散ってしまった」。 (引用終わり)「あだ桜」『父の詫び状』向田邦子(文春文庫、121ページ)。

別にどうということはないのですが、ちょっと気になったので書き留めることにした。
昨日一昨日と昔の、子どもたちとのクリスマスのことを思い出していたせいかなあ。
今が年末だからだろうか(今年も年賀状は30日に書くことになりそう)。
それとも、昨日妻とラーメンをすすりながら「これが2人のクリスマスイブ」と思ったせいだろうか。

さ、仕事しよう。