金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「世の中には、やられた者でないと分からないことがあります」:出会った言葉(2~4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(147)

(1)2年前の今日
「呼んだ方は忘れちゃうんですが、言われた方は覚えているんです。痛いから。悲しいから。世の中には、やられた者でないと分からないことがあります」
(「(インタビュー)表現の自由のいま 愛知県知事・大村秀章さん」2019年12月24日付朝日新聞
*大村さんは2歳の頃に犬にかまれて顔に傷跡が残り、小学生の頃は「縫い目」「フランケンシュタイン」と呼ばれていじめられていたと。引用句はそれに続く発言。いじめた方といじめられた方との間にはどうしようもない意識のズレが生じる。自分も知らず知らずのうちにそうなってしまう。一昨日に紹介した社長の器ではないが、これはどうしようもない。でも、自分はそうなってしまうものだということを意識しておくことはとても大切だな、と思います。

大村さんの受けたいじめよりも質が悪いのは、「いじめたつもりがない」いじめ。僕のある行為について、妻からあるとき「あの時のあなたのあの態度は・・・」と言われてハッとしたことがあります。何年もたってからのことで忘れるどころか全く意識していなかった。謝るしかないがね。でもそう言われた経験は忘れないです。

ちなみに、このいじめ問題は個人対個人だけでなく、組織体組織、そして国と国との間にも言えること。いじめた側は「もう謝ったじゃないか。いつまで言ってるんだよ」となりがち。でもいじめられた側は忘れないんだ。そういう視点から外交を捉え直すことが必要ではないか、と隣国との関係を見ていてつくづく思う。

(2)3年前の今日
生きるのに精一杯という人が、だいたい見事な人生を送りますね。
(『一切なりゆき』樹木希林著の新聞広告(2018年12月20日朝日新聞)から)

(3)4年前の今日
翻訳とは原典を「ばらばらにしてもう一度組み立て直す」作業だと村上さんは言う。
(「自分の一部を訳しているよう」村上春樹さん チャンドラーの長編7作完訳」2017年12月22日付朝日新聞
よい1日を!