金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

ゼロから作り出す苦しみ(2021年11月)

「少なくとも10個ぐらいは『これは発明だ』と思えるアイデアがないと、1本の映画にならないんですよ」 新海誠さん
My Story 2019年11月10日付日本経済新聞より)

「これは発明だ」とおっしゃった言葉の意味がほんの少し分かるような気がするのは、『金融英語の基礎と応用』をつくったときの産みの苦しみ(大項目、小項目をつける目次のアイデアが思いつくまでの2年半。思いついた後は半年で本ができた)でしょうか。あれを経験して、ゼロから何かをつくり出す著作者や原作者、芸術家といった仕事は自分にはとても無理と思い知った。翻訳者はゼロから1をつくり出す仕事ではないので、僕としては「新たな学びがないとどんな仕事もしたことにはならない」と自分に都合良く捉えることにする。

引用文の直前の文章「一作ごとにすべてを吐き出し、またスタート地点に戻る」の方が僕にはピンと来る。訳書を手がけるときがまさにそんな感じだから。でも、日々の仕事(たとえば僕は今日、明日に締め切りがくる短い仕事を抱えている)でも同じなのにそういう捉え方をしているだろうか、と自分の心のあり方を反省した。趣味は読書だそうで「1日に4~5時間、時間を決めて熟読する」とのこと。う~む。この時間がなかなか取れない、とまた反省。