金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

関係代名詞の「訳し方」に関する基本的な考え方(翻訳ストレッチの教材から)

伊藤和夫著『英文解釈教室 改訂版 別冊』p21 に掲載されている「訳出の工夫 13」は

I know a boy whose father is very rich.

を例文にして5つの訳文とその背景となる考え方が説明してある。これは簡単な関係代名詞の英語を「どう訳すか」という解説で、大学受験生というよりも翻訳者に役立つ基本的な訳し方の整理になるのではないかと思った。

1点抜けている視点は、これが関係代名詞の制限用法(または限定用法)である点についての配慮。要するに訳すかどうかは別として、この文章は、

「私は、父親が非常に金持ちである方の少年を知っている」

という「意味」を意識した上で(伊藤さんの紹介している(1)から(5)のどれに当てはまるかを考えながら)訳す必要がある、ということだろう。この点は小倉弘著『英文表現力を豊かにする 例解 和文英訳教本』(p254)で触れられている(自分のブログでも紹介した)。

関係代名詞の<制限用法>は対比を暗示する(翻訳ストレッチの教材から) - 金融翻訳者の日記