金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

出会った言葉(昨年~4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)⑨

(1)昨年の今日
「平成」を特徴付けてきたのはある種の崩壊感覚である。
……(本書は)「平成時代」は存在したが、それは天皇の存在という理由によって一時代を成すのではないという立場をとる。「平成」をひとまとまりの「時代」とすることができるのは、それが冷戦の終わりからグローバリゼーションへと向かっていく世界史的な激動の時代に重なるからである。……つまり「平成」とは、グローバル化とネット社会化、少子高齢化のなかで戦後日本社会が作り上げてきたものが挫折していく時代であり、それを打開しようとする多くの試みが失敗に終わった時代であったと要約できる。
(『平成時代』pp27-28吉見俊哉岩波新書
*今日の言葉は、今月のゼミ勉強会のテキストから。先生、メーカー、金融機関、マスコミ、お子様連れて留学中の主婦、そして私と「かつて同じゼミで学んだ」以外の経歴は全く異なるメンバー。年齢もバラバラ(現在ご主人、お子さんと一緒に現在ポーランドに留学中のSさんは僕より25歳若い)。先生を除くと最年長の僕はいつも皆さんに教えてもらうばかり。本書もゼミのテキストでなければ絶対読まなかったはず。
8月3日のゼミに向けて今日から読み始めたのだけれど、考えてみれば昭和の終わった直後(1989年6月6月24日)に美空ひばりさんが亡くなり、平成の終わった直後のつい先日、ジャニー喜多川さんが亡くなったのも、単なる偶然ではないような気もしてきます。
よい1日を!

(3)3年前の今日
個人の尊厳に基礎を置かない超越的な価値(国家、民族、伝統、共同体など)を認めたとたんに、個人の尊厳は際限なく掘り崩される
(『面従腹背』前田喜平著、毎日新聞出版 p44)

(4)4年前の今日
黙っていた方がいいのだ
もし言葉が
言葉を超えたものに
自らを捧げぬくらいなら 

谷川俊太郎
大岡信編 『第四 折々のうた』(岩波新書)p121)