金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

TOEICについて

以前にも何度か書きましたが、ここ3年半ぐらいの間にTOEIC を3度受験しました。当時大学2年生だった次男から「お父さんは翻訳者なんだから、英語のプロなんだから当然僕よりいいはずだ。いったん受けてみてよ」と脅迫(?)され、彼の目の前で申し込みをさせられたのがきっかけです(下の書き込みでの「ちょっとした事情」とは息子から「お父さんもTOEICを受けたら?」と言われ「チャンスがあったらな」答え勉強を始めた頃)。

TOEIC模試を8割ほど受けての感想 - 金融翻訳者の日記

実は僕自身が学生時代に830点、英検1級の一次合格(二次面接で落ちた)を取っていたことを息子に自慢しており「お前も大学に入ったからにはそれくらいは取らんとな~」と煽っていたと言う背景もありました(なお英検1級は独立前後2002年頃に2カ月ぐらい真面目に勉強して取りました。当時はまだ試験問題は日本語で、当時の東京大学の二次試験を思わせる形式や内容だったと思います)。受験申し込みを同時にすれば彼の受験料を払ってやるというオファーを冗談で言ってはぐらかしていたら、TOEICの申込日が実際に来てしまい、それまでの発言を逆手に取られ押し切られた次第。

TOEIC申し込みを押し切られる - 金融翻訳者の日記

既に明かしていますように、僕は「問題用紙に書き込みをしてはいけない」という受験上の規則を知らずに受験し、問題用紙にバンバンメモを書き込みながら受験しましたので、正規の点数とは言えません。

「『知らぬが仏』のTOEIC」(初TOEIC受験記) - 金融翻訳者の日記

その時の点数はTOEIC950点。その後1年半ぐらいの間に2回受験し、この時はルール通りに受けて890点、890点でした(なお次男が私と一緒に受けたのは大学2年時に目標点数に達してしまったのと3年からは専門課程(数学科)に進んでTOEIC熱は急速に冷めたようです)。私は、あくまでも翻訳ストレッチの一環として、1日短くて10分~30分ぐらいその後も1年ぐらい勉強を続けました。翻訳にも役立つと考えていました(今でもそういう要素はあると思っています)。

翻訳に活きるTOEICの勉強 - 金融翻訳者の日記

ところが、しばらく続けているうちに途中でふと空しくなって(後で書きます)TOEIC向けの勉強を止め、むしろ『英文標準問題精講』や『英文解釈教室』といった骨太の勉強にシフト。また英検1級向けのやや「深い」問題集に変えております。

ただ、(メモを取った以外は)950点を取ったときの感覚は残っています。1カ月程前に「金融翻訳者になるんだったらTOEIC900(または英検1級)以上は必要」と久しぶりに(これは持論で、10年ぐらい前から同業者向けの文章ではずいぶん書いてきました)フェイスブックに書き込んだことがきっかけで何人かの方とのやりとりもあり、

飜訳会社への応募条件②―TOEIC900点、そんなに大変か? - 金融翻訳者の日記

またある大学の非常勤講師(2回だけ)として産業翻訳の講義をした中でも改めて強調した矢先の昨日、コロナ禍もあって一時は中断していたらしいTOEICの会場試験があったらしいことをツイッターで知りました。

そこで、記憶が薄れないうちに「この感覚」は書いておいても無駄ではないと思いまして、締め切りの合間に筆を執った次第。何かの参考になればと。

まず得点の内訳はリスニング495点、ライティング455点です。

初TOEICは950点 - 金融翻訳者の日記

初めてのTOEIC(950点)の結果が紙で来た。 - 金融翻訳者の日記

リスニングは2~3問あやふやなものがあり、満点扱い(495点)ではあったものの、実際には満点ではありませんでした。リーディングは「全部できた!」と思い10分見直した。ハッキリ言って「満点を取った」と自信満々でしたが、実際には455点でどこが間違ったか分かりません。終わったときの感触と実際の結果にはこの程度の落差がありました。

受験後しばらくは何とか990を取ろうと問題集の幅を広げ、『TOEIC990~』と名のつく参考書を探しましたがそんなに多くありません。結果として一般的なTOEICの問題集の「やや難しめ」のものをたくさんこなすことになる。これはゲーム感覚としては当初面白いと思ったのですが、何しろ「ほとんど合っていてほんの時たま間違える」のを悔しがることの繰り返しなのと、何しろ読む文章に深みはない。だって事実を発表するプレスリリースとか会議の打ち合わせチャットとか広告文ばかりです。それに何しろスピード勝負なので、勉強を続けているうちに、「いったいこれは英語の勉強なのか?」と思うようになりました。

一方、『TOEIC990~』というタイトルの本は本試験で100問のうち1~2問しか出そうにない難問集です(翻訳ストレッチでも使っています)。これは「学ぶ」価値があります。ただ、この本ばかりじっくり学んで行くと、恐らくTOEIC本番でのスピードが落ちるでしょう。何しろ「ほんの時たま出題される難解な問題を落とさないように注意しながら、非常に簡単な問題ばかりをスピーディーにミスなく解く」というのが900点レベルの受験生の「受け方」なのだから。100問のうち95問ぐらいを完璧にした上で、さらに上澄みを探して覚えながら集中力とスピードを上げる訓練は英語力とは関係ないのではないか、そういう気持ちが強くなりました。

TOEICで900点超えをした人間が、それ以上(要するに990点)を狙うための努力は、無意味とは言わないが、無駄が多すぎる。このレベルを過ぎたら「深い勉強」にシフトした方がいい、というのが今段階での僕の結論です。

TOEICって、とどのつまりは英語版「リーディングスキルテスト」 - 金融翻訳者の日記

一方本屋で覗いた英検の問題集は内容が結構面白い!というわけで、英語力をさらに深めるには英検の方がベターではないかと思うようになりました(なおTOEFLは30年以上前に受けたが今はかなり変わっているらしいのでノーコメント。知り合いの大学の先生によると、TOEICよりずっと深みがあるとのこと)。もっともTOEIC専門の著作者や専門学校の先生。「990点連続〇〇回」は、それはそれで1つの勲章、あるいは芸だと思います。

TOEICお勧め著者と「間違いない本」1冊 - 金融翻訳者の日記

ただし、こうした先生方のTOEICに対する熱意には敬意を覚えますが、学生にそこ(990点)を狙わせるのは本筋からズレる気がする。

最後にTOEICの高得点者の皆さんは、要するにその点数は「どれくらいできる感覚」というのを言語化して伝えるべきじゃないかな。よいアドバイスになると思います。

あと、わざわざ言うまでもないことかも知れませんが、900点以上取る人は、TOEICレベルの英文(一般紙よりもやや簡単な英語)を読むときには日本語で考えておりません。というか日本語で考えると時間内に解けません。そういう意味で言うとTOEICをある程度のスピードで解く勉強は、頭を「英語脳」にするよい訓練にはなるかも、という気はします。

以上です。