以前から思っていた素朴な疑問がある。
翻訳会社はなぜ、応募書類の一つとして公的な英語の試験(英検や国連英検、TOEIC、TOEFL)の合格証やスコアの提出を求めないのだろう?語学関連の仕事でしょ?必要条件じゃないの?
上の疑問を昨日自分のフェイスブックで「お友だち限り」で書いたところ、最近はそれを求める会社もあるとのコメントが。しかし私がトライアルを受けまくっていた20年ほど前は全然なかったし、反応の感じでも今でもあまり多くないみたい。「結局、トライアルがすべてでは?」とのご指摘もあった。
でも思うのですよ。大学でも大学院でもTOEICやTOEFLの公式スコアを要求する時代。それでなくても「トライアルの教え合い」みたいな不正の声もちらほら聞くこの業界、必要条件として第三者の証明した語学力の証明(たとえば受験後2年以内とかの)を求めるのは当然だと僕は思います。もーちろん十分条件ではないっすよ!
たとえば応募の最低要件をTOEIC900点とし、2年以内の公式スコアの添付を義務づけるとか。先月出た『産業翻訳パーフェクトガイド』(イカロス出版)で僕は次のように書いた。
「金融に限らず、どの分野でも産業翻訳者をめざすのであれば、まずはしっかりとした英語力をつけることが大切だと思います。英検1級、TOEICなら900点を目標に勉強しましょう。期間は最長で1年。1年後にこのレベルに達しなかったら「英語で飯を食う」のは諦めた方がよいと思います」(「専門知識の効率的な学び方―金融翻訳編」同書P60)。
で、その基準を満たした人たちだけにトライアルをすれば飜訳会社も余計な労力を拙訳、いや節約できるでしょう。JTFに翻訳検定ってあるんですけど、あれだってそもそもの受験資格にたとえば「英検1級合格者のみ」とするだけで違うでしょう。英語力の上、文字通りの「翻訳力」を測る試験ということでステータスも上がるのでは?え、それをしたら受験生が来ない?それは別次元の問題でしょう。
英語力を軽くみるためかどうか「英語がいくらできたって翻訳力とは別です」という主張を見ることがあります。その通りです。でもね、その前提条件として「英語がある程度できなかったらそもそも翻訳できないじゃん」と僕は思います。