金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

『新訂・英文解釈考』を学び始めて②(翻訳ストレッチの教材から)

“Humility is very rare” said Spinoza; and as Cicero said, even the philosophers who write books in it praise take care to put their names on the title page.
[意味]「謙譲は稀なり」とスピノザは言った。そしてキケロの言うとおり、謙虚を讃えた本を書く哲人も、扉ページには我が名を記すことにぬかりはない。
(佐々木高政著『新訂 英文解釈考』(金子書房)p17)

『英文解釈考』の特徴は、①取り上げられている英文が教訓的なものが多いので、内容から学べる。②文法や構文の説明はほとんどない。③本書の基本スタイルは、同じテーマの英文が並び(たとえば引用文は「第1章『文』の構造」の「『目的語』の姿」という節の最後の例文)英文と[意味]に、若干の語学的なコメントがあるのみ。④例文は教訓のオンパレードだが、著者が本文で教訓を垂れることはないので嫌みがない。

似たような形の高尚な英文をたくさん読んで、自分で学んでくださいという感じかな。ですから大学受験参考書には向かないと思います。英語好き社会人のための教養書、というのが一番近い説明かも。

(後記)今から一年前の、学び始めてから3カ月後の感想です。67ページまで来た現在のコメントを加えるならば、

⑤英語と日本語を知り尽くした人の訳文なので、(表現の古さはややあるとしても)英語の意味を、そのニュアンスまで含めて理解するのに助かる、という点でしょうか。(2021年6月19日記)

英英辞書の語釈から和訳に進む:『新訂・英文解釈考』③(翻訳ストレッチの教材から) - 金融翻訳者の日記

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