金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

翻訳業務もティール組織化できそう

僕はあくまでもフリーランス翻訳者で、ティール組織の語る「組織のあり方」が自分の業務に直接関わることはないだろうと思っていたのだが、今回Teal Journey Campusに参加して、一見「個人作業」に見える翻訳業務(ここでは一応実務翻訳を念頭に置いている)を、お客様から注文を受け、複数の翻訳者が集まって一つの業務(成果物)を提供していく「チームでの業務」と考えればティール的な要素を取り入れることが可能ではないかと思い始めた。

・・・というか、パーティーの席であるコンサルタントの方と話している時に、僕が今取り組んでいるいくつかのチーム業務では、そうした要素を(「ティール的」だということを意識せずに)すでに取り入れていることに今さらながら気がついた。

それはすなわち、情報開示、つまりステークホルダー全員(発注者、翻訳者、いわゆるチェッカー)に対するコスト(つまり売上高と各人の翻訳料金/チェッカー料金)のオープン化と業務そのもののフラット化(翻訳会社と翻訳者、チェッカーと翻訳者の垣根あるいは階層構造を極力なくす)ということ。

さすがにそれぞれのコストを自主的に決めるまでは行っていないが、一歩か二歩は前進しているのではないかな。

特に僕が某ソースクライアントから受注した某社ホームページの英訳案件では、情報開示までは実現している(お客様も含めて、誰がいくらでそれぞれの作業をしているのか。翻訳者、校閲者は誰かを関係者全員が直接会って知っている)。もちろん、初めての試みなので翻訳/チェックをお願いする人と一緒にお客様を訪問して、(もちろん、それぞれご自分の名刺で)名刺交換をしてもらおうと決めた時には、結構勇気が要りました。

ただ、今思うに、自分のコントロールできる案件で「すべてを開示しよう」と決めたきっかけになったのは、2カ月ほど前に 坂東 孝浩 さんの主催されたセミナーで 武井 浩三 さんが「社長の給料を秘密にしている合理的な理由がない」「経理の人は他の社員の給料を知っているのに、なぜ他の社員は知ってはいけないのか?」という問題提起の影響を受けたのだと思う(お二人に感謝)。

守秘義務があるので限界はあるのですが、ちょっと考えがまとまったら、今僕が取り組んでいる2件のプロジェクト(いずれも複数の翻訳者が関与している)について、その基本的な考え方を開示していきたいと思います。

(他業界の皆様へ:僕の知る限り、実務翻訳業界ほど不必要な(無駄な)秘密主義が横行している業界も少ないような気がしています)。

乞うご期待。

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