金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「勤めている会社が世間から袋だたきに遭うということ」①(組織の危機時に身内からド嫌われる三つのタイプ)

今から二〇年以上前、当時自分のいた会社で幹部が逮捕され、いくつかの部署に東京地検特捜部が入り、代表取締役以上全員が退任という危機に遭遇した。

社長のやったことに腹を立てながらも会社を守るために一生懸命がんばりましたよ、その時は。書類もシュレッダーにかけたし、特捜部の捜索の時には専務の手帳を秘書のロッカールームに隠してもらったりね。社会的には決して許されることじゃないんだけど、ま、それなりに個人的なリスクを負って組織防衛に走るわけよ。それが会社のため(それが正しいこと)と思っていたからね・・・この部分がゆがんではいるんだけど、一当時の課長の生き方としてはさ、そうやって会社を守ることが「正しいことだ」と心の底から思っていた(当時のこの僕の考え方は間違っていた、と今は思います)。

その時につくづく思ったんだが、次の三通りの人間は少なくとも身内からは軽蔑される(ていた)と思うな。

(1)自己保身に走る人:この手の人は逃げ回るのでわかりやすい。→部長クラスでこのタイプだった人は不祥事後にほとんど飛ばされたはず(僕の知っている限り。一方、一部部長連が連判状を以て代表取締役等に退任を迫った部長さんたちもいました・・・これは本当だと言われているし僕もそう思っている)。

(2)カミングアウト派:事態が沈静化するまで旗色を鮮明にせず、事態収拾後に「実は僕は(私は)・・・・だった」とその時の多勢につく人。→あんまり能力ない人が多かった(ような気がする)。

(3)それまでは組織に追随してきたのに、これが起きたことをきっかけに社会の正義感を振りかざして社内批判を始める人(社会的にはこっちの方が正しい)。→でも、社内では「そんなこと辞めてから言えよ」と思われる。でも辞めない。→ド嫌われていました。居場所がなくなってそのうち辞める。

その基準を当てはめると小泉さんの息子は(2)になるんですがね(僕は嫌いじゃないんだけど)、前川喜平さんは、どちらかというと(3)に近いかな(僕は大好きなんだけど)。ただ彼が組織批判をしたのは辞めてからだし、辞めるまでの人望はかなり厚かったみたい。でもああいうことがあるとド嫌う人もでるだろうなあとは思う。

内と外ではこれくらい見方が変わるということで、失礼しました。

「勤めている会社が世間から袋だたきに遭うということ」②(自分の職場が捜索された時の様子や感想など) - 金融翻訳者の日記

隠蔽体質について - 金融翻訳者の日記