金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「著者謹呈」入りの中古本(2015年4月2日)

先週の「朝まで生テレビ」が実に面白かった、というより出演者のコミュニケーション能力の高さに圧倒されたので、出演者の著書を順番に読もうと思ってある人の本をアマゾンで注文した。10年以上前の本で絶版だったため中古だった(1円)。昨晩到着して本を開いたら「著者謹呈」の紙が挟んであった。

「あたし、編集者の人とかに絶対本を贈らないことにしているの」昨年の飲み会で知り合いの翻訳者の方から聞いた話を思い出した。「私が心を込めて書いた送り状が中古本にそのまま挟んであったのよ」

自分の名前の入った本が世に出るというのはやはり嬉しい。自己満足、虚栄心も働く。自分をもっと売り込みたいという気持ちもあります。そこで少しだけドキドキしながらそれなりに送り先を決めて、著者見本以外は当然自腹で、さらには自分の署名入りの挨拶状も入れるのでいったん家に送ってもらい、送料を負担して送る。

もちろん送るのはこちらの勝手。物があふれている時代、本を送りつけられて迷惑に思う方は多いだろう。編集者ならなおさらだ。だから「贈らせていただく」、「もらっていただく」という気持ちは忘れていないつもりだが、本が全く読まれないままで中古に出されるのはやはり気持ちの良いものではない。だから自分の出した本がアマゾンとかで「未読本です」とか出るとやはり悲しくなる。もちろん中古に出品されるのは仕方がない。でもせめて「著者謹呈」ぐらいははずしてほしいよな-。。

中古本に「著者謹呈」が入っていたなんて今回が初めてではないのだが、やはり自分が本を出しているから気になってしまうのだろう。でもでも、それ以前の自分を完全に棚に上げて、やはり寂しい思いになった。著者謹呈を挟んで出品した方の代わりに、この(物理的な)本の(おそらく)最初の読者として、この僕がちゃんと読もう!と心に誓ったのである(1円だけど)。