金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

『DUO 3.0』の教材作り(2014年10月13日)

昨日『DUO 3.0』の教材作りを終了した。
『DUO 3.0』は英語教材として昔から評価もし注目もしていて、自分の勉強に使えないかと思っていた。次男が高校に入った時に(卓球で入ったのである程度覚悟はしていたが)学校の授業通りにのんびりやっていたら大学受験には間に合わないと思い、せめて基本例文ぐらいは覚える方法はないかと思っているうちにこれを使うことを思いついた。
この本の「売り」は「一粒で何度も美味しい」つまり一つの例文に3~4単語(熟語)が並んで文の中で覚えられることと、560の例文の中に見出し語の重なりがない。つまりいったんすべて覚えて仕舞えば560のナチュラルな例文を復習するだけで2600の単熟語を覚えられる点にある。
しかし、一般的な公立中学を出ただけの次男レベルの学力の生徒がこれに取り組むには、この本の利点が欠点にもなる。つまり1つの例文に3~5(場合によっては6つ)の単熟語を出されて「文の中で覚えろ」と言われても無理があるのだ。
そこで1つの例文で覚える単熟語を1個にする穴埋め式の問題を作ることにした。
例えば、この本の例文1は
We must respect the will of the individual.
個人の意思は尊重しなければならない。
で、respect, will, individualの3つを覚える体裁になっている。これを何度も読んで覚えろというのは本人によほど時間と意欲ないと無理だ。そこで・・・
We must (    ) the will of the individual.
個人の意思は(    )なければならない。
We must respect (    )(    ) of the individual.
個人の(    )は尊重しなければならない
We must respect the will of (    )(    ).
(    )の意思は尊重しなければならない。
という3つの穴埋め問題に分解することにしたのである。
こういう穴埋め形式にするとかなり取っつきやすくなるのだが、それでも『DUO 3.0』ではまだ当時高1の次男にはレベル的に無理。そこでその入門編である『DUO Select』から上のような「問題集」を毎日エクセルで作って助走段階とした。
1日に文例3~6ぐらい、と言っても上の3文は「3」と数えるので実質的には1~2例文をプリントアウトして渡す。つまり作成側もほぼそのペースで作って行く。作る方の負担は1日15~20分ぐらい。本人からすると15分ぐらいで復習も終わるので負担にならなかった模様。
「他の科目はともかく英語だけはお父さんに一日の長がある。この穴埋め教材だけはだまされたと思ってやれ。毎日やる必要はない。時間のある時だけでよい。ただし取り組む時は音読せよ」と言っておいたので、学校の休み時間にしか勉強しない(というか、時間的、体力的に自宅学習はできない)次男は昼休みに取り組んでいた模様。当然中間試験や期末試験、学校の合宿や遠征の時は中断する。
『DUO3.0』に移って以降は、ほぼ毎回20例文、うち7~8例文ぐらいが新規単語熟語(文例は重なっているので実際に増えるのは2例文)、残り10例文が過去に間違ったものをランダムにプリントアウトしたもの(エクセルなので並び替えは簡単)になる。卓球部を引退後は毎回30例文、うち新規例文を3つのペースに上げた。本人の作業では30分ぐらいかかっているとのこと。
今、日付をみると『DUO Select』の教材を作り始めたのが2012年の11月6日。助走期間を終えて『DUO 3.0』に移ったのが2013年7月11日なのでこの2冊の教材作りにほぼ2年かかったことになる。作る方の作業は単純なのだが、例文と訳文を全文書き写すことに加え、単語と発音記号(当初はカタカナ、徐々に発音記号に修正)と切り分けた訳語、つまり正解をそれぞれの文の冒頭につける。当然文中の英語や訳語は見出し語から変化している(日本語だと語尾、英語だと時制など)ので、見出し語の横に該当部分の正解もつける。この教材、日本語訳がうますぎて穴埋めにそぐわない箇所がいくつかある。そこはわざと逐語訳にして穴埋めにし、その後に自然の(元の)日本語訳をつけなければならなかったのが工夫と言えば工夫だろうか。
ほぼゴールが見えた先週『DUO3.0』の復習用CDを買った。英文をナチュラルスピードでひたすら読んでいくだけのものでほぼ1時間。「1日1回、1時間聞き流すだけで2600単語/熟語が復習できる」が売り。次男は初めて聞いて(と言ってもこの2年間少しずつ増やしながら何度も書いて自分で読んできたので)「8割はわかる」と言っていた。そこそこ成果が出ているのかも。休み時間に流している。
私の勉強にもなったし一石二鳥になったな。作った方にも一つの達成感はある。
(後記)大学(数学科)に入った後で、息子から「大学に入って英語が得意になった基礎はDCU3.0にあった」と感謝してもらえたのは嬉しかったです(2021年10月13日記)