金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

フリーランスの成り立て(初心者)はヒマなのか?(+小澤征爾さんの「私の履歴書」)(2014年1月)

いよいよ面白くなってきた「ちりとてちん」(NHK朝の連続テレビ小説)。主人公のB子が年季明け(内弟子卒業)で落語家として独り立ちする展開なのだが、昨日の回では原沙知絵扮するフリーランスライターの発言で気になったことがあった。「フリーランスに成り立ての頃はヒマよ-。お金がないのと時間がありあまるので余計なことを考えてしまうの」。そういえば先輩落語家たちも「金がなくて時間だけがある生活」がやってくると脅していたのだが、強烈な違和感を覚えた。

フリーランスに成り立ての頃って実力をつけるための勉強と仕事を取るのに必死で時間がないはず。それとも彼らは仕事がいつか降ってくると思っていたのだろうか?実際の落語家やフリーランスライター(あるいは脚本家自身がフリーライターだったかもしれない)に取材した上での台詞だと思うのだが、どうにもウソっぽく見えてしまった。

今月の日経新聞私の履歴書」は小澤征爾。これがすこぶる面白い。元々文章の上手い人だと思っていたが、何というのかなあ肩の力が抜けているというか、ガキ大将が大人になってそのままのびのびとペンを走らせているみたいな躍動感がある。

今日の回では桐朋女子高校の卒業式に母親まで参列。卒業式後の宴会の幹事まで引き受けていたら単位足らずで卒業できないことが判明。母親は泣いて家に帰ってしまったのだという信じがたいエピソードが紹介されていた。普通「私の履歴書」とは功成り名を遂げた人物にとっての栄えある自己自慢の機会なのだが、恐らく小澤さんクラスになるとその程度のことは書き慣れちゃっていて日本の一新聞社から頼まれてエッセイを気軽に書いているという乗りかもしれない。いや面白い。