金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

(続)気になるケアレスミス:和英翻訳におけるPMの役割について(2013年10月23日)

一昨日にお客様から来た修正記録つき修正案(けっこうビッシリ入っていた)をネイティブ担当者に送り、昨日朝ネイティブ担当者から返ってきた回答の検討をする。

ネイティブ担当者に対しては「思ったことをそのまま書いてくれ。遠慮はいらない。僕の方で表現は適当に直すから」と言ってある。ネイティブ担当者のコメントは英日ちゃんぽんだ。それを理解してお客様向けに解説し直すのが私の仕事。

一文目から全部細かく見ていくと、結局お客様が修正されたうち「どちらでもよい」ものを除くと、ほとんどの「修正案」が「英語の得意な日本人の書いた英語:時々文法的間違いアリ」であったことがわかる。その結果お客様の「修正案」のうち6割程度は元に戻し、3割程度はお客様の文案を直し、1割程度を採用した。

(以下、コメントの例)
「典型的な教科書英語です」と書くわけにはいかないので、「to....toが多く文法的には正しいのですがリズムが悪く、ネイティブスピーカ-にはあまり自然には読めないと思います」と書く。

「日本人的英語です」の代わりに「日本語に引っ張られ過ぎで、英語としては不自然だと思います」

「文法的にも表現も適切だが面白みのない英作文」とは書けないので、「好みの問題ですのでご提案通りとしましたが、元の英文・・・の方が英文としての格調が高いと思います」と書く。

「典型的な受験生英作文です」と書けないので、「この文章で大事なこと(メッセージ)は『貴社が時代を先取りして・・・』ということだと思います。だからこそ元の英文では冒頭の述語動詞としてexpectedを使ったのです。ご提案の文章(based on the expectation・・・)は、意味は通じるのですが、インパクトに欠けると思います。したがって元々の英文をご提案します」と書く(←会社の宣伝パンフの文章ですぞ)。

以上のようなその修正、お客様の修正の再修正部分(←ここまではネイティブ担当者の仕事)について私の疑問を2,3点ネイティブ担当者に確認した後、お客様向けのコメントを書く(←これが私の仕事)のにほぼ2時間を費やす。結局、お客様からの「修正案」のうち、明らかに直さなければならなかったのは、1キャラクター綴り間違いの1箇所だけとなった(一昨日複数のケアレスミスと思ったのは私の勘違いだった)。

当然電話でお詫びし、メールでもお詫びしました。その上で「どんな細かなことでもご質問があればどうぞ」と言い添える。

上のようなメールと電話に対して今朝まで返事が来ないので納得してくれたのだと思いたい。

私の和英翻訳の経験では上のような「ネイティブ担当者が書いた英語がいかに自然で優れているか」を日本語で解説しお客様に納得してもらうのにかなりの労力がかかる。それが私の得るフィー(お客様からの総額の半分)の中味です。

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