金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

山岡さんと村井さん(出版社で聞いた「いい話」)

昨日ある出版社でお聞きした話でひとつ感動、というか納得した話。
その編集者は山岡洋一さんとも村井章子さんとも仕事上のお付き合いがかなりあった方なのですが、お二人ともいわゆる下訳は一切使っていない(かった)とのこと。文芸翻訳には下訳を使う例は結構あるようです、と言うと別世界のような顔をされていた。というか、その人の知っている限り(彼はノンフィクション担当)、下訳を使っている翻訳者を自分は知らないとおっしゃっていた。
もちろん山岡さんはチームで訳書を出されたことは何回かあるし、共訳もある。書籍を売るために、書籍の翻訳者の部分には「山岡洋一」と書いてあったとしても、チームの場合には、あとがきにその旨を記し、チームのメンバー全員を公表されていたはずである。その点を指摘すると、
「山岡さんは、印税のシェア割りも本当にフェアな方でした」と。
もうひとつ。
「村井さん、あんないい人めったにいませんよ」。
なんか安心した。