金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

営業関連

お客様は入れ替わる―2015年頃の仕事日記(2015年2月10日)

怒濤の2週間が終焉を迎え昨日の午前中は「昼が来れば休める。『神様はバリにいる』でも見に行こうかなあ」と思っていたら翻訳会社Aから仕事が入って午後はそれに時間を取られる。午後7時頃に目処もつき「さあ今からビールを飲もうかなあ」と思っていたら翻…

安請け負いは禁物(2015年1月)

一昨日某翻訳会社から「4万5000ワードを3週間」という打診が入る。「文章を見る前にこの期間でこの量は多すぎる。他の翻訳者と分割にできないか?」とメールを送っておいたら昨日午前に「他の翻訳者に決まった。QAできないか?」と。 「原文を見ないと何とも…

「平均で400字詰め原稿用紙1枚あたり1200円ですが・・・」(2014年11月)

先日翻訳ディレクトリーを見てアクセスしてきた翻訳会社があって、緊急案件と言われたが断った。ただせっかくの機会なので登録しようと思ったわけです。 登録フォームに「『弊社規定に従う』と『希望レート』のどちらかを選ぶようになっていたので、「スミマ…

ポストエディットのオファー(2014年10月)

先日某翻訳会社からメールが来た。 「今度機械翻訳のポストエディットをやることになった。ついてはこの業務に関心のある人はその意思を示して欲しい」 そこで次のような返信メールを書いた。「サンプルを見せてほしい。現段階での御社の英日の機械翻訳の水…

間が悪い(いつも断ってしまう先)(2014年10月16日)

昨日夜に翻訳会社(上海事務所)P社のDさんから電話。「スズキさーん。お忙しいですかぁ?」 彼女はいつも日本語である。少なくとも彼女のヒアリング力は完璧で俺の英語の方ができると見栄をはるほどの勇気もないので日本語で応対している。ここは3日ほど前…

出版社に電話をして赤っ恥をかいた話(2014年10月)

「え~もしもし、翻訳者の鈴木です。今産休のSさんの代わりのUさんお願いします」「はい、Uです」「こんにちは。あの~、7月に増刷になった分の印税はいつお支払いいただけるのでしょうか?」「は?」(ちょっとこちらムッとして)「ですから、7月に増刷にな…

営業日誌46冊目 (2014年10月)

今日から営業日誌46冊目。2002年9月1日に、「今日からサラリーマンでなくなったので、せめて何時に起きたか、何をしたかの記録だけ残しておこう」と思って始めた。紆余曲折あったが今はノートの見開きの真ん中に横線を引いて4分割し(半ページ分)、1日分を…

「反社会的勢力に対する基本方針」をそのまま英訳できるか(2014年9月)

以下、あくまでも一例です(実例ではありません)。 「反社会的勢力に対する基本方針」が原文だった場合 BASIC POLICY REGARDING ANTI-SOCIAL ELEMENTSは正しい英文か? (1)英作文なら正しい(かも)(2)CSRの文章なら? 1.Basicとは例外を認めるこ…

「顧客教育」(ネイティブチェック済み英訳原稿のチェックを依頼されたケース)(2014年9月)

以下は本日午前に某上場会社宛に納品した際の私からお客様宛メールの一部(文章は追加していないが一部削除した)である。 業務内容は、英文のプルーフリーディング。A社は某翻訳会社に同社のCSRに関する日本語文書のネイティブ・チェック付きの英訳を依頼…

「組織名の英訳」②(日本企業の英語ホームページの特徴)(2014年9月)

僕は6~7年前から対ソースクライアントでは英訳を受けるとネイティブ担当者に一次訳を任せ、私は①英和翻訳者としていわゆる品質管理、と②必ずしも成果物を評価できないお客様に対し「なぜこういう英文になったのか?」「なぜこの表現を削ったのか?」の説明…

「組織名の英訳」①(条件交渉)

先週某社から電話があって「実は今度組織改正をして新たな組織を作る。その組織名の英訳をお願いしたい」と依頼を受けていた。文字数が少ないことはわかっていたので「ミニマムチャージをいただきますよ」「当然でしょう」という会話はあった。 一昨日原稿が…

致命的なミスを犯す

間違いに気づいたのは朝7時だった。 某ソースクライアントから依頼されていたホームページ英訳。先週金曜日にネイティブ担当者から英文が届き日曜日に質問を投げ、月曜日に返事が来た。そして火曜日(24日)に再質問を送って、明日(25日のこと)朝までに回…

自分で『商品の説明』を書く(訳者でもできる広告宣伝)(2014年4月23日)

『世界でいちばん大切にしたい会社』が出版されて1週間。新聞広告が出ないので自分でできるだけの努力をしている。 昨日はアマゾンの「内容紹介」の原稿改定案を書いて出版社に送ってみた。この欄、本書に限らずかなり総花的な書き方のものが多く、著者ある…

出版翻訳者の皮算用(2014年3月12日)

書籍が一通り終わって大事なことを聞いていないことに気づく。即編集者に電話。「スミマセン、印税の基礎となる初版の部数は何部になるのでしょうか?」「あ、まだ決まってないんです。来週正式に決まります」(じぇじぇじぇじぇじぇ!)「で、だいたいどれ…

初めての『ダブルブッキング(?)』(2014年1月)

2週間ほど前の昼間、某社(ソースクライアント)(以下「A社」という。)から仕事が入る。ある経済圏に関するマクロ経済レポートだった。納品期限は3日後。かなりタイトなスケジュールだったが喜んで受ける。 その3時間後、某翻訳会社(以下「B社」という。…

フリーランスの成り立て(初心者)はヒマなのか?(+小澤征爾さんの「私の履歴書」)(2014年1月)

いよいよ面白くなってきた「ちりとてちん」(NHK朝の連続テレビ小説)。主人公のB子が年季明け(内弟子卒業)で落語家として独り立ちする展開なのだが、昨日の回では原沙知絵扮するフリーランスライターの発言で気になったことがあった。「フリーランスに成…

トライアル合格(2013年10月)

某翻訳会社から翻訳者として登録するので会社に来て欲しいとの連絡あり。これは素直に嬉しい。 ソースクライアントから徐々に翻訳会社へ比重を移すというプロジェクトが一歩前進した、というのが第1点めの「嬉しい」理由。 第2に、翻訳会社のトライアルを受…

(続)気になるケアレスミス:和英翻訳におけるPMの役割について(2013年10月23日)

一昨日にお客様から来た修正記録つき修正案(けっこうビッシリ入っていた)をネイティブ担当者に送り、昨日朝ネイティブ担当者から返ってきた回答の検討をする。 ネイティブ担当者に対しては「思ったことをそのまま書いてくれ。遠慮はいらない。僕の方で表現…

気になるケアレスミス(2013年10月22日)

昨日はどうにも気になるミスをした。和英の案件でネイティブ翻訳者から送ってきたものを私がチェックし、質問をいくつかして昨日朝納品したところまではよかった。夕方になってお客様から返ってきたコメント(修正記録付き)を見ると、普段の私なら見逃すは…

全部ソースクライアント(2013年10月16日)

怒濤の3連休が終わって某社(翻訳会社)の案件が昼に終わり、実務はあと2件(ソースクライアント)をやりながらいよいよ本だ・・・と思っていたら某金融機関より電話。プレゼン資料を2件受注する。というわけで現在6件の仕事全部がソースクライアント(2件の…

「翻訳会社にシフトしようか?」(ちょっと疲れてきた2013年の書き込み)

この夏にほぼ10年続いてきたヘッジファンドのレポートがなくなった。昨年の今日だったら再び金融機関への営業を考えるところだが、そういう(営業に向けての)気力が湧かない。今後はソースクライアントに伴うあれこれ大変なことを考えると翻訳会社への登録…

日本語に引っ張られた英語

たまたま今やっている某社の英訳のチェック(ネイティブ・スピーカーが訳したものを私がチェック)をあれこれ調べながら行ったのだが、昨日、公開情報の中に日本人(あるいは日本語に引っ張られ過ぎた外人)が訳したことが明らかと思われる事例を見つけたの…

「お客様のニーズに応える苦労」→「前言撤回―無理と思ったのは訳者の甘え」(2013年6月)

某社から、私の訳したレポートが読みにくいのでもう少し何とかしたいとの連絡(メール)あり。この会社、これまでこういうことがなかったし、今月は特にいつもとプロセスを変えたつもりはないのだが・・・と思いつつとりあえず青くなって電話してまずは謝罪…

僕が定期的な講師業を引き受けられない理由(2013年2月24日)

昨日は翻訳学校S社の講座の資料作りをした。2007年にJTFで3時間、JATで90分の講義を持たせてもらった。その時の資料の一部を「使い回す」ことにした。 テーマは前者が新人翻訳者の心得で後者が自己啓発。JTFの講義には準備に60時間かけた。講義料は2万円。 …

翻訳者兼営業担当(?)(2013年2月14日)

本日、出版社から献本先を相談された。 今回の書籍に関しては、はっきり言って私は出版社の営業活動にかなり貢献していると思っています(まだどうなるかはわかりませんが・・・全然売れないかもしれないしね。ただこういう形でライブ的に書いておくことも悪…

フリーランスだからこそできる:休日の即時対応

1時間ほど前のソースクライアント(金融機関)からの電話 「あ、鈴木さん、ウチのアナリストが1本レポート書いたんですけど翻訳よろしいですか?」「了解で~す」。「お休みのところ、ごめんなさいね」「え~ご配慮ありがとうございます・・・休んでないです…

仕事を「断る」とか「断らない」ということについて(2012年12月)

昨日の書き込みに対するYさんのコメント「鈴木さんでも、二度と来なかったらどうしよう、と思われると聞くと、少し安心します。」について思ったことを。 コメントありがとうございます。 まず基本観は(当たり前のことですが)「数ある翻訳者の中からわざわ…

僕が和英翻訳をあきらめた理由①「文法的には合っているけど(この文脈では)絶対言わない」ことを見分ける難しさ(2012年10月25日)

「文法的には合っているけど(この文脈では)絶対言わない」っていう文章。今、それをネイティブ担当者と直す仕事(というかコンペの準備)をしています。 コンペとは言えそれは私にとってのコンペ(トライアル)なのであって、担当してくれるネイティブ翻訳…

2種類の産業(実務)翻訳(2012年10月)

ちょっと今3つの仕事をしながら、でもちょっと思いついたので(間違っているかもしれないが)メモ的に書いておく。ここでは英和を前提とする。 恐らく(実務)翻訳には2種類ある。 (1)「英語で読まれることのみを目的(前提または念頭に置いて)として書…

翻訳者の常識と良識を疑う(「千里の道も一歩から」とは言うけれど・・・)(2012年10月3日)

昨日は昼ごろに某翻訳会社から電話がありQA(品質管理ー他人が訳した翻訳を見てチェックする仕事)をやってくれとの依頼。原文5k(5000ワード以上)なので忙しいので断る。 10分後にまた電話があって忙しいのはわかるがどうしてもやって欲しい。実は某社のト…