金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

出会った言葉

「品行はなおせても、品性はなおらない」(原節子さん):4月19日に出会った言葉

(1)2020年4月19日 今日の事態をもたらした原因の一つは、とりわけ官の世界では良心や道徳と呼ばれるような、自分自身の経験や思考を積み重ね錬磨した内心の価値基準を多くの個人が持とうとしないことである。(「(民主主義は限界なのか)官僚は『公共性…

「・・・しかし今は、10年とか20年、30年を同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている」(羽生善治さん):4月18日に出会った言葉

(1)2020年4月18日 ·……国民の命に関わる非常時には政府は様々な強権措置を発動し国民に忍耐を強いる。ある意味、民主主義の危機でもある。リーダーは起こり得る事態を事前に説明し、国民の不安を最小限に抑え、政府への理解と協力を得なければならない。こ…

「軽々しく性被害を受けた女性に「名乗り出ろ」なんて言うな」:4月17日に出会った言葉

(1)2019年4月17日 僕もかつては、「みんなの成長を支援したい!」という思いで、成果が出なくてもいろいろがんばっていた時期がある。……何年も試行錯誤した末、会社ができることは環境の整備だけであって人間を変えるなんて言うことはできない、と気づい…

「音楽の前ではだれもが未熟で対等です」:4月14日に出会った言葉

(1)2020年4月14日 「少なくともプロ宣言をした選手は、もっと発言すべきだと思います。名実ともにスポーツ選手を職業にするのであれば、社会的責任も生じる」。 為末大さん(「(耕論)声上げぬアスリート」本日付朝日新聞)本日の発言、「選手」「アスリ…

「日本の社会は、創造的な人間を必要としているのですかね」:2018~2020年の今日(4月13日)に出会った言葉

(1)2020年4月13日 ·日本では創造性が伸ばしにくいのでは―という問いに、ノーベル賞の江崎博士の「日本の社会は、創造的な人間を必要としているのですかね」という反問が、まことに痛烈だった。(1974年3月19日)(「卵の底」『深代淳郎の天声人語』(朝日…

「モデルさんへのリスペクトは当然」2018年と2019年の今日(4月12日)に出会った言葉

(1)2019年4月12日 モデルさんへのリスペクトは当然でしょう……富士山を撮るときだって、僕は「よっ日本一」と声をかけてから撮る。そうするといい顔をする。こっちが「ありふれた絵はがきみたい」と思うと、そんな富士山しか撮れないんですよ。(「語る 人…

「書き写すという作業は、文字と文章、意味と思想を理解する上で不可欠のプロセスなのかもしれない」:2018~2021年の今日(4月5日)に出会った言葉

(1)2021年4月5日 「一人や二人ではなく、もしみんなが一緒になって(抗議の)声明を示すためにSNSをボイコットするとなれば、自分も協力する」ギャレス・ベイル(サッカー選手)(「我慢の限界 アンリ氏『SNSやめる』 欧州サッカー界にも影響」2021年4…

「役者というのはやっぱり日常を生きていないと駄目ですね」(是枝裕和さん):2019年と2020年に出会った言葉

(1)2020年4月1日 ·役者というのはやっぱり日常を生きていないと駄目ですね。(是枝裕和著『希林さんといっしょに。』スイッチ・パブリッシングp160)本日の言葉:引用文、僕は「役者」を「訳者」と読みました。どの職業にも当てはまるだろうが、こういう…

「人を踏みつける側はいつも鈍感である」:2018~2020年の今日(3月29日)に出会った言葉

(1)2020年3月29日 ·「書くからこそ、一段と深く考えることができる」。書家・石川九楊さん(NIKKEI The STYLE 本日付日本経済新聞)本日の言葉:本日の特集記事は、文章を写すというよりも「書」に重点がおかれていましたが、数カ月前に書き写すことの重…

「正しい行程を正しい手順で行っているはずなのに結果がでない。そこからいかに回復するかを精密に解析できるのもプロの条件」:2018~2020年の今日(3月28日)に出会った言葉

(1)2020年3月28日 日本の社会は、人間の「力強さ」や「傷つかない心」を当然のこととしてきた。……しかし阪神・淡路大震災によって、人工的な都市がいかに脆いものであるかということと同時に、人間とはいかに傷つきやすいものであるかということを私たち…

「実は、やさしいと思われている『働き』中心の単語こそ重要でむずかしい」2018~2020年の今日(3月26日)に出会った言葉

(1)2020年3月26日 実は、やさしいと思われている「働き」中心の単語こそ重要でむずかしいのであり、意味を中心とする単語をそれらが一定の約束に従って縫い合わせるところに文章の不動の意味が生まれるのである。(伊藤和夫著『英文解釈教室』「第3章that…

「破れた武蔵丸になぜ触れないのか」是枝裕和さん:2018~2020年に出会った言葉

(1)2020年3月25日 当時の首相だった小泉純一郎さんが「痛みに耐えて、よく頑張った。感動した!」と叫んでトロフィーを渡した。それはそれでいいけれど、破れた武蔵丸になぜ触れないのか。(是枝裕和著『希林さんといっしょに。』スイッチ・パブリッシン…

「できると思うから挑戦するのではなく、やりたいと思うから挑戦する」(イチローさん):2018~2020年の今日(3月24日)に出会った言葉

(1)2020年3月24日 ·日本の女性は一度は断るのがエチケットと考えて、微笑を浮かべて小首をかしげたのである。それはあくまでもたてまえでありエチケットである以上、相手を傷つけまいとして曖昧な微笑になるのは、これまた日本人としてみれば至極当然なこ…

「大切なのは覚悟です」:2018年と2020年の今日(3月21日)に出会った言葉

(1)2020年3月21日大切なのは覚悟です。……上とぶつかったとき、やめる覚悟までできているのが本当の編集者ではないでしょうか。そうでなかったら単なる編集部員です。(「時空を超えて言論を育む 藤原書店社主 藤原良雄さん(71歳)」本日付朝日新聞Bee)*…

押しつけがましくなったら、『おもてなし』ではなくなる:2018~2019年の今日(3月20日)に出会った言葉

(1)2019年3月20日バラカン:僕が最近、ちょっと嫌いになったのが「おもてなし」。言葉そのものじゃなくて、使い方が気になる。……「さりげない気遣いや心配り」が「おもてなし」なのだから、押しつけがましくなったら、もう「おもてなし」じゃないでしょう…

「転職だらけ、つぎはぎだらけの人生・・・無理はしたが、無駄ではなかった」 (壇蜜):2018~2021年の今日(3月19日)に出会った言葉

(1)2021年3月19日無理やり自我を貫き通すために、知識・論理で武装するのではなく、言葉と言葉のコミュニケーションそのものを軽視することによって、自分や自分の回りが考えていることが正しいと言い聞かせるようになった。(小田嶋隆著、武田砂鉄撰『災…

「知識における最大の敵は無知ではなく、知っていると錯覚することだ」:3月17日に出会った言葉

(1)2020年3月17日スキよりもイヤのほうが強い感情である。自分にとって嫌なことほど、自分の価値観のスイートスポットについての理解が深まる。……「ああ、こういうのが心の底からイヤ……」という思いをするほど、人間の本質がわかる。自分がわかる。(楠木…

「こんな時でも、明るさまでは失わずにいたい」:2018~2020年3月13日に出会った言葉

(1)2020年3月13日こんな時でも、明るさまでは失わずにいたい。(「サッカー人として モラルの線引き」三浦知良本日付日本経済新聞) (2)2019年3月12日何年も会わないのに、ずっと心のなかの指標となってくださるひとがいる。私にとっては、中学の頃、…

「通訳は諦めから始まる」:2018~2019年3月9日に出会った言葉

(1)2019年3月9日……通訳は「何も変えない、何も足さない、何も引かない」ものだと教える方もいるようですが、私は常に「通訳は諦めから始まる」と教えています。ただ、完璧にできないとわかっていても解けない問いに挑戦し続けるのが、プロではないでしょ…

「人は、勇気を出して声を上げなければならない時がある」:2018~2020年の今日(3月8日)に出会った言葉

(1)2020年3月8日人は、勇気を出して声を上げなければならない時がある。(「女子更衣室がトイレの中とは」主婦 小林淑子 本日付朝日新聞「声欄」より)*引用文は、本日の朝日新聞声欄、女性差別がテーマに対するご意見の一節だが、投稿者である小林さん…

イノベーションの訳語は「路線転換」「新基軸」の方がピッタリする:2018~2020年の今日(3月6日)に出会った言葉

(1)2020年3月6日イノベーションの本質は「非連続性」にある。非連続性とは何か。それは「パフォーマンスの次元そのものが変化すること」。……平たく言えば「何が良いかが変わる」、これが非連続性であり、イノベーションの本質ということになる。(楠木健…

「人間が何をなすべきか、何をなすべきでないかの線引きは、科学では用意できません」:2018~2021年の今日(3月1日)に出会った言葉

(1)2020年3月1日(科学万能主義に対するオルタナティブ)の一つとしてあるのは「倫理」でしょう。人間が何をなすべきか、何をなすべきでないかの線引きは、科学では用意できません。 村上陽一郎(山口周『ニュータイプ時代―新時代を生き抜く24の思考・行…

「明晰な文章を書くには、いかに切り捨てるかが重要なのである。いかに盛り込むかではない」2018~2020年に出会った言葉

(1)2020年2月28日日本の検察にはそんなに人材がいないのか。(「池上彰の新聞ななめ読み 検事長の定年延長 その答弁、怒るべきです」2020年2月28日付朝日新聞)*引用文は、検事長の定年延長の理由として森法務大臣が「重大かつ復座宇、困難な事件の捜査…

「何のために、誰のために、どうして」の再認識:2018年と2019年の今日(2月26日)に出会った言葉

(1)2019年2月26日食べ物を粗末にすればバチが当たる。家や学校でそう教えられてきた若者が、初めて店で働く。体験するのは食品の「大量死(廃棄)」だ。日々棚の売れ残りを集めゴミとして捨てたり、ノルマの季節商品を店主と店員が押しつけ合ったり。心の…

「わすれても大丈夫、僕が覚えておくよ」:2018~2020年の今日(2月25日)に出会った言葉

(1)2020年2月25日「わすれても大丈夫、僕が覚えておくよ」(「天声人語」本日付朝日新聞)引用文は、日本福祉大学(愛知県御浜町)の学生が子ども向けに作った「にっぷく にこにこカルタ」という認知症への理解を深めるためのカルタからとのこと。僕は身…

「インターネットの普及によって最も盛大に失われたのは「なにもしない」時間だ」2016~2021年2月21日に出会った言葉

(1)2021年の今日インターネットの普及によって最も盛大に失われたのは「なにもしない」時間だということだよ。(小田嶋隆著、武田砂鉄撰『災間の唄』(株式会社サイゾー) (2)2020年の今日“No One is above the Law.”(ペロシ下院議長、他)トランプ大…

「(メッセージ発見法については)ノウハウがないことを知るのが、ノウハウなのである」。2018年と2019年の2月17日に出会った言葉

(1)2019年の今日メッセージ発見について言いうるのは、以上である。「ずいぶん簡単だな」と不満を持たれた読者が多いだろう。もしメッセージが8割の重要性をもつものなら、なぜ「メッセージの発見法」に本書の8割をさかないのか? これに対しては、「マニ…

「たいせつなのは、待つことだ」(2018~2020年の今日に出会った言葉)

(1)2020年の今日たいせつなのは、待つことだ。自分がつくったものを、読者を信じて、できるだけ長い間待つこと。……(中略)……それは安穏とした時間ではない。豊かな時間というものでもない。心のなかでは、一円でも多くの売上を、と焦っている。でも、待…

3年前~5年前の今日に「出会った言葉」

(1)2019年の今日「井の中の蛙大海を知らず、されど空の深さを知る」。……面白いのは、これが日本バージョンであるということだ。中国発のオリジナル版が日本に来て、「されど空の深さを知る」というオチが新たに付加されたという。(『室内生活 スローで過…

「人はチャレンジして失敗して恥ずかしくても、死ぬことはありません」(2から5年前に出会った言葉)

(1)2020年の今日労働における諸問題を「個々人の意欲」みたいなもので解決する方途を主張している人間は……「本人にやる気があれば、紙の鍵盤で練習していても一流のピアニストになることができる」みたいなお話でしょ?それって格差の全面肯定だよ。(小…