金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「その人のことを愛している」ということ(2021年4月)

昨日の晩に息子が突然歯痛に襲われ、悶絶した(理由は不明)。すぐに妻が頓服を飲ませて30分後に落ち着く。早朝に再び悶絶。今度は僕が頓服を飲ませた。本人は午前中休みを取り、今歯医者に行っているところ。

……という様子を見、対応しながら二つのことを実感した。

①自分のことよりもその人のことの方が心配になる、できることならその痛みを自分が代わってやりたいと思う気持ちが、「その人のことを愛している」というのだろうなということ。

②どんなにオッサンになっても、自分の子どもは「子ども」なのだな、ということです。

毎朝のトイレ掃除を褒められた話(2021年4月)

「〇〇さんのところ、奥様が体調崩して2カ月ぐらい入院していて先日退院したんだけどね…トイレの業者さんに清掃頼んだんだって」

「え、どういう意味?」

「2カ月掃除してなかったからウォシュレット動かなくなっちゃったんだってさー」

「そりゃ大変だな、ダンナ掃除してなかったのかな」

「そうなんじゃないかしらね…お父さん、ありがとうね」

「なななんだ」

「毎日、おトイレ掃除してくれてるじゃない」

あ~そういうことか。

東日本大震災の後ぐらいからだったか、父が亡くなった後からだったか(先日13回忌の法事を済ませました)、何かのきっかけで毎朝トイレ掃除をするようになって10年は経つ。便座、便器、床(昔は壁も・・・ほら、男どもが立ったまま用をたしてたもんで・・・)、ノズルに洗剤をかけて使い捨てのトイレ用掃除タオルを使って拭く、というか磨くといいますか。10分ぐらいかかるかな。

家にいるときは必ずするので、昨年は2月に3泊4日の旅行をした時も、初日と帰宅日は掃除したから、364日トイレ掃除をしたことになる(昨年はたしか閏年)。これはもちろん仕事よりも多いし、翻訳ストレッチをした日よりも多い。今年も元旦の最初の仕事はトイレ掃除でした(下の「誰でも1日だけならできることを365日続ける-「続けている生活習慣」ランキング」では7位に入りそう)。

家族のため・・・というよりは自分の朝をすっきり始めるためにやっている作業ではありますが、まさか家族に表立って感謝されるとは思わなかった。

「・・・おお、それはどうもどうも」

「でも、ご褒美はなしですから。あしからず」

 

 

生活習慣化する、ということ - 金融翻訳者の日記

頼まれる側にはコストがかかる(2021年4月)

「これちょっとお願い」「これ調べてもらえます?」「お客様からの質問に答えて!」「またフィードバックが来ました。対応して!!」「最後にここだけ!」と軽く頼んだ側(飜訳会社=多くは給与生活者)は、頼まれた側(翻訳者=多くはフリーランス)に追加的なコストが発生するという意識が希薄になりがちだ。

もちろん翻訳者としては、自分の仕事に責任があるので、そういう要望になるべく応えようとする。またそうすべきだ。しかし頼んだ側は、そこに追加的な時間的・作業的コストがかかっていることをどこまでわかっているのだろう?

翻訳業者の段階で顧客の要望を咀嚼し、対応できるものもあるはずなのだ。そこを単に「担当者●●さんだから頼んでおこう」と気軽に依頼してはいないか?

「これを(また)翻訳者に依頼することがどれだけの負荷をかけるのか」を考えると考えないとでは、翻訳業者と翻訳者の長期的な関係が大きく変わってくると思う。

お願いする方はノーコスト。お願いされる方は一定の負担。そのギャップを埋めるのは「金」だけではなく、頼み方かも、誠意かも、他の何かかもしれない。気をつけないと、普段のやりとりに出るぞ。

「暗号資産」の表記など

昨日のモーサテを見ていて、「暗号資産」(encryption currency、encryption asset、virtual currencyなど、通訳の世界ではcryptoで通ることも多いそう)は注釈なしで定着したという印象を受けた。日経新聞はまだ初出「暗号資産(仮想通貨)」その後「暗号資産」と表記している記事が多い。ちなみに、金融庁は昨年から「暗号資産」に呼称を変えると正式に発表しています。「・・・通貨」としてまだ認知していないというのが理由らしい。

暗号資産関係:金融庁

あとは、「テーパリング」もアナウンサーが1回「(FRBによる)債券購入額の減少」と言っただけで、ゲストの解説者はずっと「テーパリング」で通していた。

いずれも一般のニュースでは無理だと思うけれども、金融機関向けのレポートでは普通に使えそうな印象。

金融関連の翻訳者の皆様には周知のことかもしれませんが念のため。

公園の散歩中

今朝の散歩中に、公園掃除のおじいさんたちに挨拶をして歩いていたら、お一人から「おはようございます。いつもありがとうございます」と返された。お礼を言っているのはこっちでそんなことを期待していたわけではないが何となく嬉しかった。

初めて挨拶を返してもらって嬉しくなった話 - 金融翻訳者の日記

翻訳テクニックを学ぶ前にやるべきことがある―『新版 産業翻訳パーフェクトガイド』

「専門知識の効率的な学び方」について執筆させていただきました。

「英検一級orTOEIC 900点とアナリスト試験一次レベルが出発点」ということ。
確か、5年ほど前にも同じテーマでほぼ同内容のことを書いたなと思い、原稿がほぼできてから編集部に電話して相談した。返答次第ではテーマそのものを変えようと思ったので。すると「そのままで結構です。鈴木さんの信念が変わっていないのであれば」と編集長のWさん。

「はい、変わっていません。金融翻訳者を目指すのであれば、翻訳テクニックを学ぶ前に、翻訳本に手を出す前に、翻訳学校に行く前にやるべきことがあると思います」と僕。「ではそのままで行きましょう」。


「専門分野入門書」に『金融英語の基礎と応用』もご紹介いただいたのにはビックリ。感謝です。

 

https://www.amazon.co.jp/dp/4802209851

(後記:「5年前」どころか、8年前にも10年前にも同じようなことを書いていました)(2021年5月12日記)

 

 (5年前の投稿です)

金融翻訳者になるための方法&スキルアップ法(『通訳・翻訳ジャーナル』Autumn 2016用原稿) - 金融翻訳者の日記

(8年前の投稿です)

千里の道も一歩から(「金融翻訳者とは?」:2013年の記事原稿) - 金融翻訳者の日記

(10年前の投稿です)

金融・証券(『JTFほんやく検定 公式問題集』に寄稿) - 金融翻訳者の日記