金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

出版翻訳雑感

ここ3日ほど、書籍中心の生活を送ってきた(要するに、実務翻訳が暇だったということです)。毎日5~6時間やっていて、なるほどこのペースなら3カ月で1冊は行けるかなと思いました。ただ勝手知ったる(調べ物は確認が多い。調べるポイントも分かっている)実…

『ティール組織』が「日本の人事部 HRアワード」書籍部門の優秀賞を受賞

昨日のお昼過ぎ、編集後担当の英治出版の下田さんからご連絡があり、受賞を知った。 良い本だという確信はあったけれども、正直言ってここまで話題になるとは思っていなかった。訳している最中に、妻に「間違いなく素晴らしい本なんだけど、今回もたぶん売れ…

「素人さん」「アマチュア」「ひよっこ」「駆け出し」

出会った言葉: 校閲者が「日本語のプロ」「日本語の専門家」だと思っている人は、意外に多いようです。…… それは、違いますね。自分を専門家だ、日本語の知識は誰にも負けない、などと思っている校閲者は、はっきり言ってダメな校閲者です。己を疑わない校…

校閲者(チェッカー)が自己主張を始めたら・・・

校閲者が自己主張を始めたら終わりだと思う。 最初の翻訳者をリスペクトし、その翻訳を生かす。自分はあくまで黒子であると肝に銘じ、なるべく元の翻訳に触らず、一定の質を保つために最低限必要な修正案を施す。 そして時間の余裕があれば、その修正案を翻…

実務翻訳におけるチェッカーは「見習い仕事」か?

実務翻訳業界でよく読まれている某誌今月号で「チェッカーのトライアル」を特集していた。 その中にチェッカーの要件として「翻訳の経験もあれば云々」という記述があった。 私は毎月校閲の仕事をしており、この業務は翻訳経験がかなりあり、しかも現役で翻…

「万引き家族」感想

評価:★★★★★ とても心を動かされたし見に行って良かったと心から思います。 素晴らしい映画だったと思う。 しかしもう一度見たいかと言われると逡巡する。この映画には(少年の未来に対する希望的観測以外には)「救い」がないと思うからです。 自分はこの目…

心に響いた言葉(6月11日「『ティール組織』探求セミナー 自主経営(セルフ・マネジメント)って何だ?」から) 

以下は6月11日に行われた 『ティール組織』探究シリーズ「自主経営(セルフ・マネジメント)って何だ?」堀田聰子×柳澤大輔×嘉村賢州 | Peatix でなされた面白法人カヤックの代表取締役CEO柳澤 大輔さんのご発言のうち、私の心に刺さった言葉のメモである。…

二つの気づき:小竹貴子×阿部裕志「みんなで語ろう、私の組織論」に参加して

7日に英治出版で行われた小竹貴子さんと阿部裕志の対談「みんなで語ろう、私の組織論」ーー英治出版オンライン連載「『ティール組織』私はこう読んだ。」に参加した。 素晴らしいセミナーでした。 とても暖かい雰囲気の中で、普段経営にあたって楽しみや苦し…

出版翻訳幻想その2 ー 出版翻訳の怖さ 

出版翻訳についてあと2点(経験者の方はよくご存知の話だと思います)。 1.今やっている仕事が金になるのは(訳し始めてから、僕の場合早くて)1年後。 1 月に出た『ティール組織』の初版分の印税が支払われたのが3 月。 ここだけ見ると「支払いサイトが2…

出版翻訳幻想その1 ー 出版翻訳の入り口 

「書籍の翻訳って5万ワードから10万ワード(ちなみに『ティール組織』は約13万5000ワード)をお一人に任せるので、どうしても経験者を優先せざるを得ないんです」と先日飲んだOさんは仰っていた。 だから現実問題として、出版翻訳経験ゼロの人がいきなり1…

『ティール組織』の翻訳について語る会

昨日は、昨年来『ティール組織』関連の勉強会やパーティーでお会いした 半田 志野 さん(NPOの組織基盤や会計のサポート フリーランス)と 榎吉郁夫さん(株式会社ライフスタイルイノベイション 代表取締役)の御発案による「『ティール組織』翻訳者鈴木立哉…

書籍広告のイノベーション

私がABDに参加した時、嘉村さん(『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』の解説者でABDの伝道者)は「ABDで唯一問題があるとすれば、本を裁断しなければならないことです(そうしないと参加者全員が本を買わなければならなくなり、読…

出版社はどこまで本気で出版翻訳者を育てる気があるのか?

3月10日付け日経新聞読書欄「活字の海で」27面は「非英語圏の翻訳者どう確保 コンクールで新人発掘も」は、視点は面白かったが新味がなかった。 タイトルから想像される内容だが、最後の段落だけ引用する。 (以下引用) こうした中、新たな動きも出てきた。…

出版翻訳は「趣味」

先日、実務翻訳者が集まる会合があって、その席で、「鈴木さんは実務翻訳と出版翻訳の(時間)のバランスをどう取っているのですか?」という質問を受けた。 「取っていません」と答えた。 「僕は食うためにまず実務翻訳に時間をかけます。それで余った時間…

参加したセミナーの圧倒的な熱気に焦る

昨日出席したセミナー、僕が普段出ている勉強会やセミナーとまったく違う刺激がありました。その特徴だけメモ的に。 1.若い人たちのエネルギーに満ちあふれていた。 講師の嘉村さん、佐宗さん(お二人とも確か36歳)、ファシリテーターの入山先生(たぶん46…

グリーン組織に傾きかかった頃

今思うと、あれは私のいた会社が「多元型<グリーン>組織」になりかかった瞬間ではなかったか。 1997年、N證券が総会屋がらみの不祥事で社長が交代した折、各営業店の予算が廃止された時期があった。「あの」N證券でだ。 支店長の人事評定も人事部から切り離…

本当の目利き ー 『ティール組織』(原著)を発見した人

今月初めにJ社Oさんをお食事にお誘いした。 元々『ティール組織』の原書を発見し(著者は自分で作った出版社で原著を出しているので、ほぼ自費出版。したがって出版直後はほとんど注目されていなかった)、「鈴木さんどう?」と言ってくれた編集者だ。 Oさん…

本日は『翻訳事典2018-2019』発売日です。

え~皆さん、 本日は『翻訳事典2018-2019』の発売日です。 ハッキリ言っておきますが、今年の号は、土屋政雄先生(2017年のノーベル文学賞をお取りになったカズオ・イシグロ氏の主な翻訳者)の講演会の記事だけでも1冊分の価値があります。 ・・・・ついでに…

これまで翻訳ストレッチセミナーに参加された皆様へ

これまで翻訳ストレッチ(旧翻訳筋トレ)セミナー(都合4回やりましたっけ)に参加された皆様へ。 皆様、いかがお過ごしですか?続いてます?(え?・・・今なんて・・・?) 実は、29日に発売される『翻訳事典2018-2019』の41ページ~43ページに 「長続きす…

あるべき翻訳教室とは?

ふと思ったんだが、翻訳を教えるって、自分の生活をある程度さらけ出すことではないか。そうしないと説得力を持たないのではないか、と昨晩から今日にかけて感じた。合理的な根拠はない。 先日の柴田元幸先生も、土屋政雄先生も、一昨年聞いた村井章子先生も…

いわゆる「チェッカー」をやって気がついたこと。

A、B、C, Dさんの翻訳を僕が校閲し、Eさんの翻訳をBさんが、そしてFさんの翻訳をCさんが校閲し、最後にA~Fの校閲済み翻訳の最終チェックを僕がやる、というちょっとあまりない経験をした(僕は翻訳をしていない)。 分野は金融。A~Fさんともかなりの経験を…

原文を聞いて訳文をチェックする

先日ある翻訳者の方とメールでやりとりしていて、僕が音声を使って翻訳チェックをしているのを勘違いされて「私も鈴木さんにならって日本語を聞いてチェックしている」と書かれていたので誤解に気がついた。 僕は、英語(つまり原文)の音声を聞いて日本語の…

出版翻訳の「取らぬ狸」

実務翻訳の時は頭の中の3分の1ぐらいは採算を考えている。締め切りが比較的近い(長いものでも一カ月ぐらい)こともあって時間あたりWord数(と売上高)が常に頭の中に残っている。1カ月単位で売り上げも計算します。単価交渉もする。 しかし書籍は別だ。 最…

『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』

発売まで1カ月先ですが・・・ 訳書としては15冊目(共著、名前の出ない本も含みます)が出ます。 『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』 フレデリック・ラルー (著), 嘉村賢州 (解説), 鈴木立哉 (翻訳) ・経営者、経営幹部、経営企…

『翻訳力錬成テキストブック』

『翻訳力錬成テキストブック』(柴田耕太郎著 日外アソシエーツ)https://www.amazon.co.jp/dp/4816926674/ 2~3日に1度、毎回5~10分ずつ取り組んでいる。6月下旬から勉強を始めてほぼ半年。現在は「課題文2-2」(132ページ)だから4分の1ぐらい進んだこと…

翻訳に活きるTOEICの勉強

(1) 翻訳をする。(2) 原文と訳文を両方音読しながら見直す。(3) 読み上げ用ソフトで英語を聴きながら訳文(日本語)を見直す。(4) 日本語を音読する。 日本語の読み上げ用ソフトが使えなくなってから、ほぼ上のようなプロセスで翻訳を進めて納品していますが…

訳文から見える違和感

最近、必要があって同じ原文(マクロ経済の関するレポート)に対するいくつかの訳文を読む機会があった。審査というと偉そうだが、ちょっと見てくれません?と頼まれたわけです。 原文は読めている・・・と言っても私が普段訳している英文の地の部分はTOEIC…

フリーランスの皆さんへ

仕事は自然には降ってこないぞ。 取りに行く努力を懸命に続けていると、運が良ければ、降ってくることがたまにあるんだ。 「何で仕事が来ないんだろう?」とぼやかずに「自分のどんな努力が足りない?」と努力しながら考えよう。

ABD(Active Book Dialogue)の衝撃

昨日、某出版社の会議室でABD(Active Book Dialogue)と呼ばれる勉強会に参加した。参加の理由は、今度出版される訳書の再校ゲラがテキストになったからだ。 衝撃的だった。これだけの衝撃を受けた勉強会はもう何年もなかったかもしれない。 ABDとは、参加…

初めてのTOEIC(950点)の結果が紙で来た。

TOEICの結果が紙で来た。 リスニングが495(ただし最高点と書いてある)というのは、満点じゃないんだ~。 私のリスニング スコアの内訳: ① 短い会話、アナウンス、ナレーションなどの中で明確に述べ得られている情報をもとに要点、目的、基本的な文脈を推…