金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「『スラック』から考える失業率 (その3)」―働いていない人々をすべて含めて考える:リッチモンド連銀のHornstein-Kudlyak-Lange非雇用指数NEI

日本会議通訳者協会のマイク関根さん(先日『通訳というおしごと』(https://www.amazon.co.jp/dp/4757433972/ref=tmm_hrd_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=)を出されました)にそそのかされて(?)昨年春から、本業(金融翻訳)で出会いそうな、でも深く…

デマに惑わされないための一方法

「お父さん、これからあたしたちにできるベストの新型コロナウイルス対策わかったわよ」とその人は言った。「なんですか?」「インターネットを一切見ないこと」「なぬ!」「新しい情報を得るメリットよりも、信頼できない新しいデマで不安になるデメリット…

『新訂・英文解釈考』を学び始めて

「そうした語学的「予測(anticipation)」能力と感性的「受信(reception)」能力を育てるという二つの目標の踏み石となりたい本書の中の文章はできるだけ濃(こく)のあるものにしようと、平凡なことを平凡にしか言っていないものは気前よく捨てた」(佐々…

いわゆる「写経」(原文と訳文の手書きでの書き写し)について(3)(最終回)

(10)音読について 実は音読はもう10年以上続けていて、その内容についてブログ(長続きする自己啓発「翻訳ストレッチ」ー毎朝、仕事前に、手広く、コツコツとー(『翻訳事典2018-2019』から))に書きましたので、ここでは書き写しとの違いについて感じて…

いわゆる「写経」(原文と訳文の手書きでの書き写し)について(2)

(5)毎回、最低でも1文(原文と訳文)の書き写しが終わるまでは止めない 「翻訳ストレッチ」では一つの活動を5分単位にしていますので、この書き写しも5分で一区切りなのですが、実際には文章が長くて、全部書き写し終わらないうちに(場合によっては、原文…

いわゆる「写経」(原文と訳文の手書きでの書き写し)について(1)

FacebookとTwitterに「書き写しは短期的な効果、音読は長期的な効果がある」と呟いたところ、「具体的にどういうことですか?」というご質問をいただきましたので、翻訳ストレッチとの絡みで、原文と訳文の手書きでの書き写しについて書かせていただきます。…

下訳について

「下訳使うなんて信じられない」 (柴田元幸著『僕は翻訳についてこう考えています 柴田元幸の意見100』アルク社、p130) これは結構有名な発言で、その後に「何で他人に自分に代わって遊んでもらわなきゃいけないのか」と続く。村上春樹さんも同じだと。こ…

翻訳勉強会の効用

3年ほど前から、K社編集部K先生の主催される翻訳教室の卒業生(1期につき半年のコース2期1年で「卒業」、それ以上は受講できない)による勉強会に参加している。分野は文芸。教材は原文、先生の試訳、学生訳、講義録、そして講義を録音した音声ファイルを…

書き写す(翻訳ストレッチの一方法)

新井紀子さんの著書(『AIに負けない子どもを育てる』東洋経済新報社)からヒントを得て、最近「翻訳ストレッチ」に取り入れた方法(というより意識の変化)。 自分の気に入った一流の原書と一流の訳本を選ぶ。 1.原文を書き写す。2.訳文を書き写す。 こ…

長続きする自己啓発「翻訳ストレッチ」ー毎朝、仕事前に、手広く、コツコツとー(『翻訳事典2018-2019』から)

(以下は、『翻訳事典2018-2019』(アルク)に寄稿した原稿です。執筆からすでに2年ほどが経ち、使っている教材など細かい点はすこしずつ変わってきていますが、基本的な考え方は同じです。翻訳者の皆様の何かの参考になれば幸いです)。 毎朝、仕事前に、…

MMT(Modern Monetary Theory)をどう訳す?(再掲)

日本会議通訳者協会の関根マイクさんから「金融翻訳に関する記事を何か連載してくれません?」との要請を受けて2年。「時間ができたら是非!」と言いつつずっと引き延ばしていたら、律儀な関根さんは半年に一度ぐらいずつ、「兄貴ぃ(僕の方が年上)、そろそ…

日本会議通訳者協会の関根マイクさんから「金融翻訳に関する記事を何かれんさいしてくれません?」との要請を受けて2年。「時間ができたら是非!」と言いつつずっと引き延ばしていたら、律儀な関根さんは半年に一度ぐらいずつ、「兄貴(僕の方が年上)、そろ…

「ビジネス書大賞 2019」経営者賞 授賞式で話したこと

昨日は「ビジネス賞大賞2019」の授賞式(『ティール組織』が経営者賞を受賞したため)。2分間のスピーチをと言われていた。慣れないので即興のスピーチは無理。2分だと「あ~、え~」で終わってしまう恐れがあると思い原稿をつくり、家で2,3回練習してから…

「ベストセラー書籍『ティール組織』はなぜ日本でヒットした?翻訳者が語る驚きの裏話」の裏話。

インタビューアーの板東さんと直接知り合いになったきっかけは、六本木にある「ティール組織の肉汁水餃子専門店 餃包」でした。 インタビューにもありますように、私が朝の日課で「ティール組織」をエゴサーチしていると、「ティール組織の・・・」で見つけ…

サイボウズ社の株主総会に行ってきたぞ――!

土曜日(30日)の午後、13時~19時ぐらいまで、サイボウズ株式会社の株主総会関連イベント3つに出席した。以下、いくつか印象に残ったシーンを思いつくままに。 (お断り)以下はあくまでも私の感想であって、報告・要約ではありません。「」で括った引用文…

出版翻訳雑感

ここ3日ほど、書籍中心の生活を送ってきた(要するに、実務翻訳が暇だったということです)。毎日5~6時間やっていて、なるほどこのペースなら3カ月で1冊は行けるかなと思いました。ただ勝手知ったる(調べ物は確認が多い。調べるポイントも分かっている)実…

『ティール組織』が「日本の人事部 HRアワード」書籍部門の優秀賞を受賞

昨日のお昼過ぎ、編集後担当の英治出版の下田さんからご連絡があり、受賞を知った。 良い本だという確信はあったけれども、正直言ってここまで話題になるとは思っていなかった。訳している最中に、妻に「間違いなく素晴らしい本なんだけど、今回もたぶん売れ…

「素人さん」「アマチュア」「ひよっこ」「駆け出し」

出会った言葉: 校閲者が「日本語のプロ」「日本語の専門家」だと思っている人は、意外に多いようです。…… それは、違いますね。自分を専門家だ、日本語の知識は誰にも負けない、などと思っている校閲者は、はっきり言ってダメな校閲者です。己を疑わない校…

校閲者(チェッカー)が自己主張を始めたら・・・

校閲者が自己主張を始めたら終わりだと思う。 最初の翻訳者をリスペクトし、その翻訳を生かす。自分はあくまで黒子であると肝に銘じ、なるべく元の翻訳に触らず、一定の質を保つために最低限必要な修正案を施す。 そして時間の余裕があれば、その修正案を翻…

実務翻訳におけるチェッカーは「見習い仕事」か?

実務翻訳業界でよく読まれている某誌今月号で「チェッカーのトライアル」を特集していた。 その中にチェッカーの要件として「翻訳の経験もあれば云々」という記述があった。 私は毎月校閲の仕事をしており、この業務は翻訳経験がかなりあり、しかも現役で翻…

「万引き家族」感想

評価:★★★★★ とても心を動かされたし見に行って良かったと心から思います。 素晴らしい映画だったと思う。 しかしもう一度見たいかと言われると逡巡する。この映画には(少年の未来に対する希望的観測以外には)「救い」がないと思うからです。 自分はこの目…

心に響いた言葉(6月11日「『ティール組織』探求セミナー 自主経営(セルフ・マネジメント)って何だ?」から) 

以下は6月11日に行われた 『ティール組織』探究シリーズ「自主経営(セルフ・マネジメント)って何だ?」堀田聰子×柳澤大輔×嘉村賢州 | Peatix でなされた面白法人カヤックの代表取締役CEO柳澤 大輔さんのご発言のうち、私の心に刺さった言葉のメモである。…

二つの気づき:小竹貴子×阿部裕志「みんなで語ろう、私の組織論」に参加して

7日に英治出版で行われた小竹貴子さんと阿部裕志の対談「みんなで語ろう、私の組織論」ーー英治出版オンライン連載「『ティール組織』私はこう読んだ。」に参加した。 素晴らしいセミナーでした。 とても暖かい雰囲気の中で、普段経営にあたって楽しみや苦し…

出版翻訳幻想その2 ー 出版翻訳の怖さ 

出版翻訳についてあと2点(経験者の方はよくご存知の話だと思います)。 1.今やっている仕事が金になるのは(訳し始めてから、僕の場合早くて)1年後。 1 月に出た『ティール組織』の初版分の印税が支払われたのが3 月。 ここだけ見ると「支払いサイトが2…

出版翻訳幻想その1 ー 出版翻訳の入り口 

「書籍の翻訳って5万ワードから10万ワード(ちなみに『ティール組織』は約13万5000ワード)をお一人に任せるので、どうしても経験者を優先せざるを得ないんです」と先日飲んだOさんは仰っていた。 だから現実問題として、出版翻訳経験ゼロの人がいきなり1…

『ティール組織』の翻訳について語る会

昨日は、昨年来『ティール組織』関連の勉強会やパーティーでお会いした 半田 志野 さん(NPOの組織基盤や会計のサポート フリーランス)と 榎吉郁夫さん(株式会社ライフスタイルイノベイション 代表取締役)の御発案による「『ティール組織』翻訳者鈴木立哉…

書籍広告のイノベーション

私がABDに参加した時、嘉村さん(『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』の解説者でABDの伝道者)は「ABDで唯一問題があるとすれば、本を裁断しなければならないことです(そうしないと参加者全員が本を買わなければならなくなり、読…

出版社はどこまで本気で出版翻訳者を育てる気があるのか?

3月10日付け日経新聞読書欄「活字の海で」27面は「非英語圏の翻訳者どう確保 コンクールで新人発掘も」は、視点は面白かったが新味がなかった。 タイトルから想像される内容だが、最後の段落だけ引用する。 (以下引用) こうした中、新たな動きも出てきた。…

出版翻訳は「趣味」

先日、実務翻訳者が集まる会合があって、その席で、「鈴木さんは実務翻訳と出版翻訳の(時間)のバランスをどう取っているのですか?」という質問を受けた。 「取っていません」と答えた。 「僕は食うためにまず実務翻訳に時間をかけます。それで余った時間…

参加したセミナーの圧倒的な熱気に焦る

昨日出席したセミナー、僕が普段出ている勉強会やセミナーとまったく違う刺激がありました。その特徴だけメモ的に。 1.若い人たちのエネルギーに満ちあふれていた。 講師の嘉村さん、佐宗さん(お二人とも確か36歳)、ファシリテーターの入山先生(たぶん46…