金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

金子靖翻訳教室(2017年春の公開教室)のノートから

(以下引用)
いつもそうですが、翻訳は基本が大事ですが、どういうわけか実際に翻訳の仕事をしている人たちの中にはそれが自分には間違いなくあると強く思い込んでしまっている上に、この講義でわれわれが膨大な時間を捧げて打ち込んでいるようなトレーニングを積もうとしない、間違いを間違いとして誰かに指摘されることなく、自分もそれを決して認めず、仕事で間違いを繰り返し、結果として仕事を失うということをしてしまっているような気がします。そしてもっとまずいことに、こういったテキストを使って翻訳を基本からみっちり勉強することが無駄であるかのような考え方をし、そうした努力をする人たちをどこかバカにする者もいるようです。(中略)
 自戒を込めて言いますが、勉強会で自分のミスがわかる、指摘されるというのはとってもありがたいことですし、すぐれた友人たちの訳を見ることで、モチベーションが上がるはずです。
金子靖先生 2017年夏の公開教室 1回目 講義ノートpp7-8)
注:本日勉強会があるので、改めて講義ノートを読んでいて書き留めておこうと思った一節です(金子先生、勝手に引用してスミマセン)。

 授業では、個人個人への丁寧な添削とは別に、講義ノートが配布されます。これが個人宛のメッセージを添えて21ページ。しかも授業後に、参加した皆さんの感想文(というか、講義ノートにある先生の質問/疑問に対して参加者の皆さんが自主的に提出された回答集。これがまたスゴいのなんの!)や、その内容について参加者の方と議論された結果「講義ノートの誤りに気づきました!」と修正したものまでお送りいただいています(今回に限りません)。
 先生ご自身のレベルが超高いのに、参加者と一緒に学び続けようという(大変失礼ながら)どこまでも謙虚な姿勢。ヨイショするわけじゃないが、改めてズシリときます。
出会いに感謝です。
頑張ろう。
(後記)金子靖先生のレギュラー翻訳教室は2シリーズ(6回×2=12回)までしか出席できないが、毎年春と秋に開かれる公開教室はOBOGも出席可能なため、募集が始まると数十分で埋まります。(2021年8月7日記)

「表参道のYK屋 激辛担々麺の試し方」(YK氏主催の翻訳教室をラーメン屋にたとえると)

(*ワケの分からない方はどうぞスルーを)

某K究社編集部にお勤めのYK氏の「お教室」について私がここで色々と書くものだから、「行ってみたいけどコワ~い!」と踏み切れない人も多かろう。

そこで不詳この私が、自らの経験に基づいて特別に伝授しよう。

(1)開店したら目をつぶって注文する。
何しろ早い者勝ちである。半年に1度か2度しか開店しないので、そろそろ開店かな、というタイミングが近づいたら常に店の前から目を離さず、常連客からも情報収集し、「開店!」ときたらスケジュールを確認し、すぐに入店し、「激辛担々麺一丁!」と注文すること。

(2)「後悔したのは、君だけじゃない」
注文するとすぐに出てくる。一口食べる前に、見ただけでまずはこう思うはずだ。「注文しなけりゃよかった・・・」。そして次に「僕の好みじゃない」「僕の分野じゃない・・・」「やっぱり時間がない・・・」等々、箸をつけないための自己弁護が始まる。

各ジャンルのグルメという自負のある者ほどそう思うかも知れない。しかしそう思うのは君だけじゃない。恥をしのんで告白しよう。僕だってそうだったんだ。でも、あとで何人もの人から同じ感想を聞いたんだよ。

それを食えないと思うのは、君の好みでも、君のジャンルが違うからでもない。そもそも「味が分かっていないからだ・・・俺は似非グルメだったんだ!」まずはそのことを認めよう。謙虚な姿勢で麺とスープに立ち向かうのだ。

(3)苦しいのも、君だけじゃない
「いただきます」意を決して食べ始めても、噛んでも噛んでも味が分からん。食っても食っても終わらない・・・そんな局面に何度でも出くわすはずだ。しかしそう思うのも君だけではない。常連客も同じなのだ。

店主だって、「仕入れてみたけど・・・さすがにこりゃ分からん」なーんて素材だってある。でもそれは君が食っている時には分からない。食うのは1人だけの作業で、だれも助けてくれない。しかし完食した者だけが健闘を称え合う「補習」という名の「集いの場」に来れば必ず分かる。老いも若きも、アマチュアもプロも、初心者もベテランも、みーんな同じ思いと苦しみを味わっていたと言うことを。だから決してあきらめずに、自分でできる限りの努力をして、とにもかくにも完食して、「ごちそうさま!」とどんぶりを出すこと。

(4)店主は優しい
店主のYK氏はこの道30年、味と素材、そして自分の舌に対してとことんウルサく、しかし謙虚なプロフェッショナルだ。テナントのオーナーの経営危機を助けるべく表参道に開店してほぼ10年。相場の10分の1という超破格の値段も手伝い、常連客も着実に増えている。しかも常連客には他で担々麺店を開いている一流どころのシェフも多い玄人好みの店なのだ。

順番さえ守ってもらえれば一見さんもハッピーウェルカム。完食し、丼さえ出せばたっぷり2時間、補習も含めれば4時間ぐらいは担々麺道を聞かせてくれる。もちろん懇切丁寧な個人指導と、素材とスープ、味、常連客の上質コメントも満載の分厚い資料集も手渡してくれる。しかも酒好き。

もちろん、癖になるか、ならないかは君の好みだろう。

完食するかどうか、常連客の道を追うか、一見さんで終わるかは君のオウンリスクだ。

アマもプロも、是非一度お試しあれ。

・・・仕事せねば。

TOEIC申し込みを押し切られる

昨日仕事をしている私の後ろから声をかけられた。

「お父さん、TOEIC申し込めるよ」

「え、あ、そうだった?・・・で、いつ?」

「9月10日」

「え、あ、仕事が・・・・・・あ、いや月末じゃねえか」

「約束だよ」「わかった。申し込んでおこう」

「今、申し込んでよ」「い、いま?」

「そう、約束。僕の分も。一緒に受ける時には払ってくれる約束」

「そ、そうだったな」

「・・・もう逃げられないよ」

「う・・・ッ」

「お父さん」「な、何よ」

「負けないよ」

 

で、ダン。

 

あ~これで逃げられなくなった。実に、実にヤバイ。

「『知らぬが仏』のTOEIC」(初TOEIC受験記) - 金融翻訳者の日記

特区諮問会議の民間議員の皆さんに問いたい。

民間議員の皆さんの、岩盤規制は撤廃すべきだ。というご意見に大賛成。
 
その上でお尋ねしたい。
 
そもそも民間議員の皆さんはなぜ、申請してきた加計学園の理事長が安倍首相の腹心の友であることを問題にしなかったのでしょうか?
 
親しい所であるが故に、慎重の上にも慎重に検討しようと発言した方はいなかったのでしょうか?議事録をはどうなってるの?
 
・・・それとも、まさか皆さんは「そんなことは知らなかった」のか?
 

首相は「そもそも」の意味を引く前に・・・

首相は「そもそも」の意味を引く暇があったら、まず「李下に冠を正さず」の意味を辞書で引くべきだった。

 安倍さんは、そもそも特区ができた時点で「誠に申し訳ないが、私の首相在任期間中、加計学園は特区には申請できない」と理事長に頭を下げてあきらめてもらうか、加計学園が特区に申請してきたら、自分が理事長の親友であり、萩生田さんが利害関係者であることを発表した上で議長を降り、萩生田さんを担当から外していればこんなことにならなかった。

昔には通ったかもしれない政治家の利権など今は通用しないんだ。

そんなことすらわからない世間知らずのお坊ちゃん。自分のことしか考えてない。国のことなんかなーんにも考えていない。

この国にとって本当に、本当に不幸だ。

 

前川前文科省事務次官の記者会見の雑感(2)

 
 
(正確に数えたわけではないが)合計で20名くらいの質問者のうち、朝日、日経、テレ朝、NHK、時事、共同、東京が各1名(か2名)、個人会員2名だったのに対し、産経新聞とフジテレビの質問者が6~7名いた(およそ3分の1)ということ。ちなみに司会は毎日(前川さん派)。
 
フジサンケイグループは会場中に人員が配置されていて、おそらく互いに連絡を取りながら、皆で分担して質問をしていたのではないか、という印象を持った(全員とても紳士的でした)。
 
前川さんから真正面から回答または反論されていた。
 
手を上げた人全員に質問権が与えられたので、「個人会員」(お一人はNHKのOBとおっしゃっていた)が二人質問されていた。うち一人は「手を上げても指されることなんてないもんだから・・・」と照れつつ、長い演説を始めてしまい、司会者から「質問してください」とたしなめられて、ウチの近所の管理組合総会みたいだなあ、と思った。
 
例の、記者会見で管官房長官を追い詰めた東京の望月さんは、(とつぜん注目をされたせいか)、個人会員ほどではなかったが質問というよりも演説になっちゃったのは、あれ?と思った。
 
なお読売の記者の質問はなかった。
 

前川さんが彼らに与えた最大の打撃

 

前川さんの記者会見でもう一つ思ったこと。

安倍、管、荻生田、松野、義家、そして内閣府の審議官たちは、この前川さんと同じルール(本人のステートメント(30分程度)、自分に好意的な代表者による一問一答の質疑応答(30分程度)、その後、参加者なら挙手をすれば誰でも参加できる、1回あたりの質問は一問に限るが質問がなくなるまで続けられる質疑応答)の合計2時間の記者会見に耐えられるだろうか?ということだった。

 

前川さんは上のような環境に立派に耐えた、どころか落ち着いた物腰と理路整然とした受け答えで会場を完全に支配していた。

 

この記者会見で前川さんが彼らに与えた最大の打撃は、たぶんそれだ。

 

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