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金融翻訳者の日記

自営業者として独立して10数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

AI翻訳は翻訳者のどういう分野のどういう仕事を奪うのか?

語彙や言い回しに関するルール(含む文法)が事細かに決められており、ルールの汎用性が高く(地方やサブセクターでの方言が少ない)、ルールが変更される頻度が低く、主に情報伝達を目的とするメッセージ性の低い文章ほどAI翻訳に取って代わられやすいと思う。

 

しかも、そのルール通りに厳密に書かれている(文法上の誤りや言い回しの誤りが少ない)文章ほど危ない。

 

具体的には条約、法令文書や役所の通達文。取扱説明書など。金融なら日々の相場概況、財務諸表(および注記の大半)などではないか。

『ブレイクアウト・ネーションズ:「これから来る国」はどこか? 』に対する単行本出版3年後の書評

3年前に単行本(原書はその1年以上前)、昨年文庫化した『ブレイクアウト・ネーションズ』に、その調査手法と執筆姿勢に焦点を当てた好意的な書評がアマゾンに載った。

書き手の方の了解を得ていないが、すでに定価の10分の1以下になってしまった書籍の書評に埋もれさせておくのはもったいないと思い、以下にコピーします。ご関心のある方は古本でどうぞ(データがすでに古いため、送料込みで300円台で買えます)(余談:文体からすると、この書き手、もしかしたら僕のよく知っている人かもしれない。機会があれば直接お尋ねするつもりです)。

(以下引用)

投稿者 珈琲 投稿日 2016/8/17

現場主義・実証主義の説得力

双日総研エコノミスト吉崎達彦氏のブログ記事で、ルチル・シャルマ『ブレイクアウト・ネーションズ』ハヤカワ文庫、2015.4.20 を知り、早速購入、通読した。吉崎氏のおっしゃる通り、これはとても興味深い書であった。
 
著者は新興国を対象とする投資ファンドの専門家で、15年以上も年間の半分以上を新興国に過ごして、徹底して現地の様子を直接見分して考え抜くという方針を貫いてきた人物である。机上の議論ではなく、徹底した現地主義・現場主義の臨場感から、ビジネスの複雑さ、ビジネスに関わる要因の多様さ、などを肌身で感じ、ビジネスが単純な解答のない世界であることを骨身に滲みて熟知していることがわかる。

この著者のような地に這いつくばったような実践的で泥臭い議論からみると、先頃一躍話題となった「ピケティの格差の議論」などは、それなりに傾聽する価値はあるとは思うものの、人間の経済活動のごく一部のみに限定した小さな議論であることをひしひしと感じる。つまりピケティの議論は、やはり「分配のみの議論」に過ぎないことを改めて思うのである。もちろん分配という問題もとても大切ではあるが、それだけの議論では、そもそも分配の対象となる富の獲得・蓄積ができないのである。

この書を読みながらふと思い出したのが、四半世紀以前に読んだJ.K.ガルブレイス、スタニスラフ・メンシコフ『資本主義、共産主義、そして共存』ダイヤモンド社、1989 であった。社会主義を至高と信じつつも資本主義の動向に真摯に関心をもち続けたソ連のリベラル派経済学者と、自由主義・資本主義アメリカの代表的なリベラル派経済学者との紳士的で融和的な対談だが、静かで穏やかな対話からは、不思議に社会主義と資本主義の超えがたい溝が感じられた。東欧経済、社会主義経済の陥落からすでに四半世紀以上が経過し、今では社会主義・資本主義などという枠組みで議論することもほとんどなくなってしまった。一方で、それぞれの新興国で主流となっているそれぞれの経済も、そのころの資本主義と社会主義との溝以上に、大きく異なる性質と傾向をもっているようだ。

ルチル・シャルマは、とくに新興国において、経済に対する政治のあり方、経済政策、政治状況の寄与がきわめて大きいとする。そして、グローバル化した現代の経済状況は、最近の10年間で大きく変わったともいう。現場経験にもとづく彼の議論には、とても説得性がある。

もうひとつ、15年ほど以前に読んだ デビッド.S.ランデス『強国論』三笠書房、1999 を思い出す。ランデスは、経済のパフォーマンスを決める決定的要因は、人種、民族などの生物的あるいは言語的属性にはなく、その国家がもつ「文化」、すなわち経済的行動を規定する文化傾向である、とする。つまり文化として経済活動に向いている国家と、そうでない国家がある、とする。たとえば、キリスト教とくにプロテスタントをベースに勤勉を文化とする西欧国家は経済活動に成功しやすいが、イスラム教の文化を尊重しすぎる国家郡はほとんど経済成長できない、などというものである。この議論は、ある意味あまりに単純に思えるが、その反面現実の世界を見ると、意外に鋭い説得性もある。たとえば、中国についで人口が多くさまざまなポテンシャルに恵まれていると思われるインドが、中国についで今後急速に台頭し経済大国になる、と10年以上以前から言われ続けてきた。しかしランデスの分析では、インドの宗教・カースト制度にもとづく経済文化が、もの作りを軽蔑するなど強い偏りがあることから、経済成長が容易でない、としている。これは私のわずかな国際ビジネス・貿易関連でのインドとのつきあいからも、首肯できる事実である。また、大部分のイスラム教徒の生産現場での勤務態度をみても、経済活動への適性の問題は、誰の眼にも明らかに思える。

ルチル・シャルマに言わせれば、経済はそんなに単純ではなく、経済のパフォーマンスは、政治情勢や国際情勢によって大きく変化するものであり、ランデスのいう「経済に関わる文化」はその情勢の一部をなすに過ぎない、ということかも知れない。たしかに、教育熱心でモラールが高いなど、ランデスや私自身の自らの経験から高いポテンシャルを認めるベトナムは、ルチル・シャルマが指摘する経済政策上の失敗によって、最近は苦境に陥っているようだ。
私が今回ルチル・シャルマの書を読んだあと、漠然と想定し納得しうるイメージは、国家の根深い背景としては、やはりランデスのいうような経済文化があって、国家レベルでの経済活動の可能性はかなり規定されていると思う。しかしルチル・シャルマがいうように、政治情勢によっては経済活動が大きく影響を受けるし、それによって成功・失敗がもたらされることも事実である。ただ、ルチル・シャルマが重視する政治情勢という要因は、彼もいうとおり10年間も安定することは稀であるため、結果としてマクロ経済は予測が非常に困難であり、また結果として変動が大きい。このルチル・シャルマの書でさえ、3年前の2012年の刊行物であり、それから現在までの間に、すでにかなりの範囲で様子が変わってしまっていることを改めて思う。

国家的なレベルの経済パフォーマンスを考えるときは、ランデスのいう「国民的な経済文化」を通奏低音のような規定要因として考慮しつつ、最近・現在のその国の政治状況をできるだけ詳しく見つめた上で考える、ということが正攻法なのだろう。
現場主義の生々しい事実にもとづいた迫力ある叙述であり、その内容はかなり重いのだが、そのわりに読み進めやすいのは、著者のプレゼンテーション能力だけでなく、「変化が大きい政治状況」という本質的・本源的な「軽さ」がひとつの原因だろう。ランデスの主張からは、かなり宿命論的になってしまって希望がないが、シャルマの主張からは、いつでもだれでも未来が期待できるように感じられる。ともかく、印象の深い書であった。(引用終わり)

 

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「Q思考」を知ると、世界の見かたが完全に変わる!──話題の翻訳書、訳者が語る! 第4回『Q思考』

(以下は、https://courrier.jp/news/archives/57035/からの転載です)

 

考えかたが変わる「たった3つの問い」

著者のウォーレン・バーガー氏はデザイン思考、イノベーションを得意とするジャーナリストです。

ジャーナリストにとって最も大切な能力の1つが尋ねること、聞き出すことです。
バーガー氏は質問のプロとして、「イノベーション」をテーマに世界各国のデザイナー、発明家、エンジニアや経営者にさまざまな質問をぶつけ、話を聞き出していたのですが、そのうちに彼らのほうこそ「質問の達人」であることに気がついたそうです。

そこで今度は「質問」をテーマにしたホームページを立ち上げ、読者と意見交換しながら世界中のイノベーション企業の経営者に改めて取材を重ねました。こうしてまとめたのが、この『Q思考 シンプルな問いで本質をつかむ思考法』ダイヤモンド社)なのです。

本書の原題は、A More Beautiful Question:The Power of Inquiry to Spark Breakthrough Ideasです。そのまま訳すと「より美しいクエスチョン(question):突破力のある思考に火をつける探求力」ということになります。

この「クエスチョン」とはどういう意味でしょうか?
冒頭で私は「質問」という言葉を使いましたが、日本語で「質問」あるいは「問う」というと、「人」を対象にして「相手から何かを引き出す力」という意味になります。実際、ジャーナリストの仕事の多くは、この意味でのクエスチョン、つまり質問を意味しています。

けれども英語の「question」の意味はこれよりもはるかに広いのです。目の前に起きているありとあらゆる物や事、現象はもちろん、時に自分自身、そして他人に対して何かを問うことを意味しています。
問い、疑問、自問、質問としてのクエスチョン。日本語の訳書の題名を『Q思考』にしたのは、こういう事情があったからです。QとはもちろんQuestionのことです。

そしてバーガー氏はこう断言します。

イノベーションを起こすための鍵は『答え』ではなく、『クエスチョン』のほうにある」

さまざまな形式のクエスチョンのうち、特に「なぜ?」「もし~だったら?」「どうすれば?」と問い続ける姿勢の重要性を、豊富な事例を通じて紹介していくのが本書の骨子となっています。

ではそのクエスチョンは、限られた天才やイノベーターにしか発することができない特別なものなのでしょうか?

「子どもの視線」で物事を見る方法

目の前に起きていることを素直に受け取り、自分が少しでも「あれ?」と思ったらその疑問をどこまでも追求する。
実は、誰にでもそういう経験があります。

そう、幼い子どものころです。
本書では「子ども」、それも4歳ぐらいまでの好奇心旺盛な子どもたちが、イノベーションの観点からいかに優れた質問をしているのか、至るところで紹介しています。

例をあげると、米国の有名なコメディアンが書いたスタンダップ・コメディ(漫談)向けの台本があります。

最初は「パパ、今日はどうしてお出かけしないの?」という無邪気な子どもの疑問から始まります。
そのうちに「どうして雨が降ってるの?」「どうやって雲ができるの?」「どうしてパパは雲ができる仕組みを知らないの?」「どうしてパパは学校でちゃんとお勉強しなかったの?」「どうしておじいちゃんとおばあちゃんはパパの学校の成績を気にしなかったの?」「どうしてパパのご先祖様はそんなだったの?」と、大人を次々と問い詰める質問に発展していき、最後は大人が「いいから黙ってなさい!」と堪忍袋の緒を切らしてしまうところで終わる、というネタです。

ハーバード大学の児童心理学者、ポール・ハリスは、子どもは2歳から5歳までのあいだにおよそ4万の質問をする、という調査結果を発表しています。
最初は物の名前などたんなる事実についての質問ですが、月齢30ヵ月(2歳半)ごろから説明を求めはじめ、4歳になるころまでに、質問の大半は事実についてではなく、説明を求めるものになる、というのです。

子どもたちは「これはこうに違いない」という大人のやりがちな「レッテル貼り」をすることもなく、知らないことを「知らない」と素直に認め、知りたいことをどんどん追求していきます。

しつこく食い下がるのは、なにも大人を困らせてやろうとか、たんに会話を長引かせようとしているのではありません。物理学者のニール・タイソン博士はこの年齢の子どもたちを「科学者」と呼び、大人に尋ね続ける姿勢の理由を「物事のいちばん底にたどり着こうとしているからだ」と説明します。

ミシガン大学での実験によると、子どもたちは実際に説明を与えられると、賛成したり、関連質問をしたりして自分の好奇心を満たそうとする一方で、満足のいく答えをもらわないと、不満が高まって最初の質問を繰り返す傾向が高かったそうです。

ハーバード大学院生の硬直した思考

本書の第3章では、幼稚園の子どもたちとハーバードMBAの大学院生のチームに未調理のパスタ、糸、テープ、マシュマロを与え、制限時間内にできるだけ高いタワーを組み立てさせるという競争をさせた実験(マシュマロはタワーの頂上に刺します)が紹介されています。

学生たちは、この勝負に大まじめに取り組みました。勝利を目指して分析的なアプローチを採用し、パスタ、糸、テープをどう組み合わせれば最も高いタワーをつくれるか、甲論乙駁の議論を重ねたのです。

ところが、徹底的な計画と討論をしたにもかかわらず、何度慎重に設計し組み立ててもタワーは崩れてしまい、つくり直しているあいだに制限時間が来てしまいました(リーダーを誰にするかの相談にも、ずいぶん時間をかけたそうです)。

一方、幼稚園児たちはどうしたでしょうか? スタートするとさっそく組み立てはじめました。そのため、「ある方法を試し、うまくいかなかったらすぐに別の方法を試す」といった試行錯誤の数が、学生たちよりもずっと多かったのです。

子どもたちはすべてを予想しようとはせずに、作業しながら失敗から学んでいきました。
そして、この勝負で見事にハーバードの大学院生を打ち破ったのです。

この実験は、「先の見えない状況で難しい課題に取り組むにはどう進めるべきか」について、大きな示唆を与えてくれます。


幼稚園児たちの行動から、私たちは「何がいいのか、どんどんやってみることに、代わるものはない」ということを学べるはずだ、と筆者は主張します。

子どもの「なぜ?」が偉大な発明を生む

エドウィン・ランドは米ポラロイド社の創業者で、20世紀初頭のスティーブ・ジョブズにもたとえられる偉大な発明家です。
ランドがインスタントカメラを発明したきっかけも、幼い子どもが発した素朴な疑問でした。

ニューメキシコサンタフェで家族と休暇を過ごしていたとき、ランドはお気に入りのカメラを使って愛娘ジェニファーの写真を何枚か撮っていました。
当時、フィルムの現像は暗室か現像ラボに持っていく以外に方法はなく、ランドはそれを当たり前のことと思っていました。ところが、わずか3歳だった幼いジェニファーはちょっと違った見かたをしていました。

「写真ができあがるまでに、なぜこんなに待たなければいけないの?」

そう父親に尋ねたのです。そして娘の質問に答えられない自分に愕然としたランドは猛然と頭と身体を動かしはじめ、ジェニファーの質問から5年後にインスタントカメラを発明します。

著者はこのエピソードから、専門家でない人や門外漢のほうが専門家よりも素晴らしい質問をできるということを指摘します。

そして、「なぜ?」という疑問を持てるようになりたければ、好奇心旺盛で思ったことをすぐ口に出す3歳か4歳の子どもを連れ歩くか、好奇心の強い子どものように世の中を見られるよう、自分の視点を調整するよう努力しなさい、と説きます。

「学校教育」で定着させられた思考法から抜け出す

では、4歳まであれほど活発に「なぜ?」「なぜ?」を繰り返していた子どもたちが、6歳になるころには、どうして口を閉ざすようなってしまうのでしょうか?

筆者はそれを、伝統的な学校教育のせいだと考えているようです。

学校に入り学年が進むうちに、先生や親から教えられた「大人だけが知っている正しい答え」を覚えなさいと半ば強制され、授業の進行を妨げるような質問はできない雰囲気のなかで過ごすうちに、本来持っていた「なぜ?」の気持ちをなくして静かになっていく、というのです。

ここで筆者が取り上げているのは、日本の学校のことではありません。私たち日本人からみればあれほど自由に、自分の意見を発言しているように見える、米国の学校なのです。
そうして大人になったエリートたちが大企業に入り、出世競争に打ち勝ち経営者になると、どうなるでしょうか。

1990年代、ハイテク関連やその他の産業で成功し、市場をリードしていた大企業の多くが、新興企業に次々と追い抜かれていきました。
新興企業の製品の質はたいしたことはなかったのですが、大企業の製品よりもシンプルなつくりで、便利で、安かったのです。

一方、大企業の側は、顧客により良いサービスを提供し、製品の改善を進め、利益率を伸ばすという、ビジネススクールで教わった通りの「正しいビジネス活動」にいそしんでいました。
世の中を変えるほどのイノベーションの本当の芽が、実は低価格市場に生まれていたにもかかわらず、大企業はそれを一顧だにしませんでした。

技術がどんどん高度化していく市場において、値段が高く、仕組みが複雑で、利用する人が限定されている製品を手ごろな値段で使いやすくすると、大衆市場が一気に口を開いてゲームのルールが変わってしまい、既存のトップ企業を倒せる可能性が生まれる――。
これが、ハーバード大学のクリステンセン教授が提唱した「イノベーションのジレンマ」です。

そんな時代が始まっていたのに、大企業はそれに対応できなかったのです。

では、どうして新興企業だけがこの機会をとらえることができたのでしょう? そして大企業はなぜ、「イノベーションのジレンマ」を見つけられなかったのでしょう?

クリステンセン教授の答えは明快です。

「大企業の経営者たちは『問う力』を鍛えられていなかったのだ」

将来の幹部候補生たちは、かつてビジネススクールで完全に合理的で、しかも実用的な経営理論を身につけたはずです。ところが世界が変わって古い理論が通用しなくなると、ほとんどのリーダーは現実から一歩下がって次のような問いを発することができなかった、というのです。

「なぜ、もうこれが通用しないのか?」

「ビジネス市場がひっくり返り、いままで底にあったものが頭上に来たらどうなるだろう? そしていま起きていることが本当にそういうことだとしたら?」

「私の会社は新しいビジネスの現実にどう対応すべきだろう? 古い理論をどう書き換えればよいのか?」

ほとんどのビジネスリーダーは何の前提条件もつけずに、ゼロベースでビジネスのありかたを問い直そうとはしません。彼らは特に「正しい問い」に向き合うことができなくなってしまいました。

そう、大企業経営者の多くは、伝統的な学校教育のなかで正しい答えを出すことに全力を尽くし、企業に入ってからは定められた目標(答え)を達成することに切磋琢磨しているうちに、「子どもの視点」をなくしてしまっていたのです。

「Q思考」は誰でもできる

「子どもの心」を持つことがいかに重要か、おわかりいただけたのではないでしょうか。
では、子どもの心を持つことはそれほどに難しいことなのでしょうか?

筆者はノースダコタ大学のダーリヤ・ザベリナが、2組の大人のグループに行った簡単な実験を紹介しています。
1つのグループには、学校が休みになった「7歳の子ども」になりきってほしいと指示し、別のグループには指示を出しませんでした(そのままの自分でいてもらった)。

そしてこの2つのグループに創造力テストを受けてもらったところ、「子どものように考える」グループのほうが優れた独自の発想をし、「柔軟で、自由な思考力」を発揮したというのです。
ここに大きなヒントがありそうです。

人間の思考は柔軟性が高いので、ちょっとした心がけと簡単な訓練で、どんな人でもQ思考の世界に入ることができる、と筆者は説きます。

「自分が子どものような気分になって考えてみよう」

「『ブレイン・ストーミング』ならぬ『Qストーミング(クエスチョン・ストーミング)』をやってみよう」

「『ミッション・ステートメント』ではなく『ミッション・クエスチョン』をつくってみよう」

など、その気になれば誰でもすぐに始められる具体的な実践方法が、本書には紹介されています。

このように、本書『Q思考』では、「Q思考を生活のなかで実践するための基本的な視点と背景」「ビジネスで質問をする方法や技術、それらの訓練法」そして「人生における『美しい質問』とのつきあいかたや心構え」などを包括的に論じています。

しかも、グーグルやナイキはもちろんのこと、日本でも民泊の解禁とともに話題となっているエアビーアンドビーやオンラインストリームで有名なネットフリックスの創業秘話などが紹介されているので、「いま、世の中で起きていること」の背景を知ることもできるでしょう。
本文に挿入されている33本のコラムもすべて、イノベーションのきっかけとなった実話を紹介しています。

この世の中には、「○○解答法」「××の基礎知識」「△△の方法」といった本があふれています。
私たちが学校で学ぶ教科書も、問題集もすべて、与えられた問題に正しい答えを見つけたり、覚えたりすることを目的としています。

ところが、「クエスチョン」について書かれた本をご覧になったことはあるでしょうか? おそらく本書は、世界で初めての「質問の教科書」、いや「Q思考の教科書」と言えます。

皆さんも本書をお読みになり、ここに紹介されている方法を実際に試し、日常生活に取り入れることで、優れた質問家(クエスチョナー)、そして素晴らしきイノベーターへの第一歩を踏み出してみてください。

Text by Tatsuya Suzuki
鈴木立哉 一橋大学社会学部卒業。コロンビア大学ビジネススクール修了(MBA)。野村証券勤務などを経て2002年から翻訳業。訳書に『世界でいちばん大切にしたい会社』翔泳社)、『ブレイクアウトネーションズ』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)など。

courrier.jp

 

 

クーリエ・ジャポン:「Q思考」を知ると、世界の見かたが完全に変わる!──話題の翻訳書、訳者が語る!

『Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法』に関するエッセイ(紹介文)がクーリエ・ジャポンに掲載された。

 

訳者まえがきを膨らませ、イノベーター、ビジネスマン向けであると同時に、教育本、子育て本としての側面をやや強調した(実際、小中学生のお子様を持つお母様方の間で徐々に広がっているとのお話も伺っています)。

 

編集部からは2400字以上6000字と言われたので、気張ってほぼ6000字書きました。

 

courrier.jp

『Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法』 ダイヤモンド社 書籍オンラインから

今回はダイヤモンド様が結構力を入れてくださっていまして、ホームページに次のような連載記事が掲載されています。い

 

第1回   出世のスピードは質問の多さに比例する

http://diamond.jp/articles/-/92931

 

第2回 ブレストはこんなに無意味だった!研究で判明した真実とは?

http://diamond.jp/articles/-/92932

 

第3回 全米で流行中!人生が変わる「1行の質問」って?

http://diamond.jp/articles/-/93201

 

第4回 コレで頭がよくなる!ヴジャデ発想法のすごい効果

http://diamond.jp/articles/-/93244

 

第5回 エアビーアンドビー創業者が教える!素人が大きなビジネスをする方法

http://diamond.jp/articles/-/93245

 

 


 

 

 

『Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法』訳者あとがき

『Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法』

ウォーレン・バーガー著、鈴木立哉訳(ダイヤモンド社

内容をご理解いただくため、訳者あとがきを再掲する。

(以下引用)

本書はウォーレン・バーガー(Warren Berger)著A More Beautiful Question: The Power of Inquiry to Spark Breakthrough Ideasの邦訳である。著者はデザイン思考、イノベーションを得意とするジャーナリスト。本書執筆のために世界中のトップイノベーター、起業家、クリエイティブ・シンカーらを対象に、彼らがどのように疑問を抱き、独創的なアイデアをつかんできたかについて取材を重ねつつ、ブログA More Beautiful Questionを立ち上げ、読者との対話を重ねながら本書を完成させたという。

出版直後にIDEO社長兼CEOティム・ブラウン氏から「クリエイティブなリーダーが読むべき5冊の本」に取り上げられたことを手始めに、タイム誌、フォーブス誌、ニューヨークタイムズ紙、ハフィントン・ポスト紙など全米各紙誌で絶賛され、世界の革新的・創造的なビジネスリーダー、企業に圧倒的な影響を与え続けている。

原題を直訳すれば「より美しい質問:突破力のある思考に火をつける探求力」ということになる。日本では「質問力」あるいは「問う力」というと、「人」を対象にして「相手から何かを引き出す力」、という印象を持たれやすい。

ところが本書で「質問」や「疑問」、「問い」と訳している英語の「クエスチョン(question)」の意味はこれよりもはるかに広い。目の前に起きているありとあらゆる現象(人も含む)に対して「なぜ?」「もし~だったら?」「どうすれば?」と問い続けていく姿勢のことを指しているのだ。そして「イノベーションを起こすための鍵は『答え』ではなく『クエスチョン=質問/疑問/問い』の方にある」と断言する。

本書のキーフレーズ「なぜ?」「もし~だったら?」「どうすれば?」とは、言い換えれば、理由を探り、仮説を立て、方法を考えることだ。しかし著者はそんな堅苦しい論理学用語(?)を使わない。もっと気軽な乗りで素直に「なぜ?」と尋ね、何の条件もつけずに「もし~だったら?」と問い、「どうすれば?」と考えることが大事だという。一言で言えば、本書を貫くもう一つのキーワード「子ども」の目を持て、と言っているのだ。

本書では「子ども」、それも4歳ぐらいまでの好奇心旺盛な子どもたちがイノベーションの観点からいかに優れた質問をするのかが至るところに紹介されている。小さな子どもの素朴な質問に窮してしまう大人の話(第2章)、ハーバードの学生が幼稚園児に負けた話(第3章)、娘の「どうして?」との質問がきっかけでインスタントカメラの発明に結びついた話(第3章)などなどエピソードが満載だ。

にもかかわらず、と筆者は嘆く。4歳までにあれほど活発に「なぜ?」「なぜ?」を繰り返していた子どもたちは6歳になるころには口を閉ざすようになり、学校に入り学年が進むうちに先生や親から「先生だけが知っている正しい答え」を出し、それを「覚える」ことを半ば強制され、授業の進行を妨げるような質問はできない雰囲気の中ですごすうちに、本来持っていた「とうして?」の気持ちをなくして静かになっていく(しかも、筆者が取り上げているのはアメリカの学校なのだということをお忘れなく!)。そうして大人になったエリートたちが大企業に入り、出世競争に打ち勝ち経営者になった今、新興企業にあっさり敗れてしまう理由を、クリステンセン教授のコメントを引きながら指摘する。「大企業の経営者たちは『問う力』を鍛えられていなかったのだ」と(第4章)。

以上のように、本書は質問の重要性に始まり(第1章)、持つべき基本的な視点と背景(第2章)、ビジネス上での質問の方法や技術や訓練の仕方(第3~4章)、そして人生における「美しい質問」とのつきあい方や心構え(第5章)までを論じた、おそらく世界初の「質問教科書」ではないだろうか。「自分が子どものような気分になって考えてみよう」「『ブレーン・ストーミング』ならぬ『クエスチョン・ストーミング』をやってみよう」「『ミッション・ステートメント』ではなく『ミッション・クエスチョン』をつくってみよう」など、読者がその気になれば今すぐにでも始められる具体的な実践方法も紹介されている本書を読めば、あなたも今日からイノベーターへの一歩を踏み出せること請け合いである。

最後にお礼を。まず、素晴らしい原書をご紹介いただいた株式会社ニューズピックスの常盤亜由子さん、文字通りの拙訳に適確なコメントと励ましをいただいたばかりか、実務翻訳の仕事に追われなかなか原稿が上がらなかった私を辛抱強くお待ちいただいたダイヤモンド社編集部の三浦 岳さん、そして私の健康に気を遣いながら日々の生活を支え続けてくれた妻 暁子に心から感謝したい。ありがとうございました。

 

https://www.amazon.co.jp/Q/dp/4478023425/ref=tmm_pap_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=1467148297&sr=1-1

 

 

Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法

鈴木立哉

Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法
ウォーレン・バーガー (著), 鈴木 立哉 (翻訳)

...

(以下引用)

内容紹介

★ダニエル・ピンク(『モチベーション3.0』著者)絶賛!
★ティム・ブラウン(IDEO社長兼CEO)絶賛!
★アダム・グラント(『GIVE & TAKE』著者)絶賛!
NYタイムズブルームバーグ・ビジネスウィーク、
パブリッシャーズ・ウィークリー他、全米各紙誌絶賛!

全米のあらゆるメディアで絶賛された「驚愕の思考法」がついに日本上陸!
グーグル、IDEO、ネットフリックス、パタゴニアなど、最も革新的な企業で 次々と爆発的な発想を生み続けている思考のメソッドが初めて明らかに!
「たった1行の問い」で、だれもが見たことのないような美しい答えを生む画期的な方法!

◎「組み合わせ」が新たな発想を生む
◎ベゾス、ブリン、ペイジの共通のルーツ
◎Q思考の「3ステップ」をマスターする
◎「変化をつくりだす方法」を観察する
◎鋭い「なぜ?」を生み出す条件
◎「では、どうすべきか」は言えなくていい
◎「開いたり閉じたり」して質問のレベルを上げる
◎だれも持っていない視点をつかむ「ヴジャデ発想法」

いまの時代、新しいもの、新しいやり方を生み出さなくては 生き残れないというのは、どんな業界でも同じではないか。
本書は、そんな問題にきわめて効果的な一冊だ。
つまり、これまでの考え方の延長では生み得ないものを生むための「新しい思考法」なのだ。

1つしかない「正解」をめざしてものを考えるのではなく、次から次に、「いったいどんな問題があり得るだろう」と考えていくなかで 思考の枠を広げていき、通常では辿り着けないような 大きなスケール・次元の発想を生み出していく方法を、
順を追って具体的に説いていく。

とりわけクリエイティブな人材がなかなか出てこないといわれる日本において、 これからの時代を拓いていくためのターニング・ポイントになり得る1冊だ。

(引用終わり)。

https://www.amazon.co.jp/dp/4478023425/