金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

AI翻訳は翻訳者のどういう分野のどういう仕事を奪うのか?

語彙や言い回しに関するルール(含む文法)が事細かに決められており、ルールの汎用性が高く(地方やサブセクターでの方言が少ない)、ルールが変更される頻度が低く、主に情報伝達を目的とするメッセージ性の低い文章ほどAI翻訳に取って代わられやすいと思う。

 

しかも、そのルール通りに厳密に書かれている(文法上の誤りや言い回しの誤りが少ない)文章ほど危ない。

 

具体的には条約、法令文書や役所の通達文。取扱説明書など。金融なら日々の相場概況、財務諸表(および注記の大半)などではないか。

AI翻訳が勢力を増すと・・・(2016年12月当時の推測)

AI翻訳が勢力を増すと、「意味さえわかれば(情報さえ伝われば)文体は関係ない」と言った乗りの、普通の日本語からは思いつかないような不自然な文章(や文字の組合せ)(しかし意味はわかる)が出回るようになるかも。

(後記)実際には、自然な日本語に近い方向に進化しているようです。ただ、5年前のこの書き込みを読んで、「絵文字入り文章ってどう訳すんだろう?」と思いました(2021年12月24日)

「翻訳ストレッチセミナー」参加者の皆さんからいただいた感想(2016年5月)

午前中に参加者の皆様のアンケートをいただきました。何より嬉しかったのはアンケートにお答えいただいた方が36名(参加者50名+JTFスタッフの皆さん)と7割を超えていたことでした。

昨日はほぼ予定通り、前半お話し。15分の休憩後「翻訳ストレッチ体験コース」を行った。ただし1セット5分のところを3分30秒にして、現在私が普段行っている、全部で8種類の仕事前トレーニングを一気に経験していただいた。

それ以外では、話したいことを全部話すと、おそらく5時間ぐらいかかるものを2時間40分に詰めた。最初に皆さんに挙手をお願いしたところ、何と9割ぐらいがフリーランス。経験5年未満の皆さんが5割、10年未満が8割だったので、用意していた「フリーランスのメリット・デメリット」部分を割愛したので良い時間調整はなったのだが、アンケートを見ると

「独立直後のフリーランスへのアドバイスをもう少し知りたかった」と書かれた方が1名。

早口にならないように気をつけたつもりでしたが、「後半がやや早口になりよく聞き取れない部分がありました」とのご意見が1名。

「翻訳ストレッチの時間をもう少し短くしてほしかった」とのご意見も1名あった(ただし、その後に「もっと話を聞きたかったから」と付け加えてありました)。

現段階での頭の整理もできたし、良い経験でした。

参加いただいたみなさま、お忙しい中お集まりいただき、本当にありがとうございました。

(お断り)5年前に開催した体験セミナー後にいただいたアンケートについて。原文の「翻訳筋トレ」(当時はこう言っていました)を「翻訳ストレッチ」に書き換えてあります(2021年12月21日記)

作業時間の目安(2016年12月)

マンスリーレポートの一部を納品し終わったところ。

目覚ましは5時だったんですが、先ほど書いたように今朝は3時半起き。朝食30分と朝のルーティーンを除くとずっと翻訳に係りきりで10分前に納品。お客様との約束は10時だったから、3時30分起きが結果オーライだったことになる。

目覚ましを5時にセットしたということは、あと600ワードプラス1200ワードの見直しの仕事量として、僕の頭は3時間程度を読んでいた。ところが実際には3時半に起きて、約4時間半かけて納品したのだ(僕は4回見直すので時間がかかります)。僕の体は3時半に起きないと間に合わないと言っていたわけだ。

僕は、翻訳力は未だにトホホ・・・なのだが、経験を積んでくると、残された仕事量に対する作業時間の目分量がかなり正確になっていて、体が自然に起きている。そして結果オーライになってしまうことが多い…。

(後記)5年前の書き込みです。たまたま先ほど某社マンスリーレポートを納品しました。3500ワードに、見直し等全部含めて16時間ちょいかかりましたので、時速216ワードということになります。このスピードはこの10年ぐらいあまり変わっていないという肌感覚です(2021年12月20日

意外なツボ(2016年12月)

昨日朝7時にO社(ソースクライアント)からメール。「この原稿お願いします」。400ワード。

一昨日の夜に「明日来るかも」とのメッセージがあったので「別件があり、それを終えてからなので午前中が目処」と書いておいた。

7時30分頃から読み始める。比較的分かりやすい英文で、内容は100%承知している。15分ぐらい取り組んだところで「10時ぐらいには送れそうです」とメール。向こうが急いでいることはわかっていたので。さらにスイスイ進む。4回(読んで見直し、英文聴きながら見直し、日本文聴きながら見直し、最後に納品物を自分で音読)見直して納品したら9時15分だった。

9時20分に先方から電話。「もう出来たの?速い!!!」と予想以上に感動された。「いやいや、たまたま前の案件が早く終わって・・・」と言い訳(?)したが、せっかく感謝してくれるので、「そりゃどうも・・・」と答えた。

別に速かない。記録を見ると時速202ワードだ。最近翻訳スピードが遅くなって200ワードを切ることも多くなっているので、それに比べるとちったあ速いかもしれないけれど、まあ、遅い。

話をしてみると、先方からすると、朝起きて家を出る前に僕にメールを送り、会社に着いたらできていた、ということが「感動」の原因らしい。知らないうちに向こうのツボを突いていたのね。

こういうズレってあるんですね。

"One-Two-Three to a 'That's Great!' Diary" (From My Wife) (December 6, 2018)

My wife shares:

1. Every night before sleep, she reflects, "What good happened today?" aiming to identify three things. If something clearly joyful occurred, she cherishes it. If nothing obvious comes to mind, she reinterprets any event as 'good'. For example, a thought like, "I goofed up today," transforms into, "Ah, it's great I made that mistake. Now, I'll avoid it in the future."
This way of thinking gradually lifts her mood, infusing her with happiness. If she identifies three things, she keeps them in mind. If not, it doesn't bother her. She simply revels in the thought, "Ah, how blissful to fall asleep with such a delightful feeling," and soon, she's asleep.

2. In the morning, the first thing she does is write down the 'three good things' from the night before. This act heralds the beginning of her day. She wishes, "May I pen another 'that's great!' diary tomorrow." As she finds a positive angle in everything, content is never lacking. Hence, there's no stress...
...Regularly practicing this, she's grown more optimistic. It brings her joy at bedtime, and the effort to remember the positives seems to ward off aging. Writing them down first thing in the morning fosters a proactive attitude for the day ahead. "Why not give it a go, Darling?" "Ha ha~"

The inspiration seems to have come from a caregiver's tale she read about in a column a month ago. The "One-Two-Three to a 'That's Great!' Diary" is her own whimsical naming.

Why not try it out yourself? (I admit, I haven't yet.)

(Postscript) I'm still not keeping one (shamefully) (December 6, 2023)

僕が講師を辞めた理由(2016年12月4日)

昨日も1日中仕事の後、西葛西のロイヤルホストで打ち合わせ、その後地元のおでん屋で痛飲。

打合せの席でいろいろなお話しをしながら、(教えることを含め)他人の前で話をしようとする準備は、いろいろと頭の中が整理できて確かにプラスになるなあとあらためて思った。

僕は10年ほど前、1年間だけ翻訳学校で教えていたことがある。楽しかったし、生徒さんの中から独り立ちする方も出たので、それなりの成果はあったとは思う。1年で辞めたのは講師料の交渉中の相手の態度(鈴木先生にとってのお客様は生徒ではなく我々学校なのだから、我々の意向に沿ってもらわなければ困るという趣旨の慇懃無礼なメールが先方役員から届いた)に腹が立って縁をたたき切ったのが直接の原因だが、その一方で教え始めると際限がなくなって時間効率が極端に下がったから、というのも本音としてはあった。2時間2万円の授業の準備に15時間かけてしまっていたのだ(しかも毎週)。僕の場合、教えることはビジネスにできないとつくづく思った。

前回のJTF(日本翻訳連盟)の時は準備に55時間かかったっけ。今回はそれほどの時間はかけられない。30時間ぐらいかなあ・・・と思っているウチに、そういえばJTFさんからいくら頂戴するのかをお尋ねしていないことに気がついた。確か前回は2万円だったような・・・(つまり時給300円だったわけですね)。まあいいす。これ(JTFのセミナー)はお金でやるわけじゃないので。